感染による影響は?

前述のように、WireLurkerが現在猛威を振るっているのは中国市場であり、中国市場向けのサイトに接続し、そこからアプリをダウンロードしてインストールしない限り、現在のところは安全だとみられる。ケースバイケースだが、こうしたサイトで配布されているアプリは公式ストアに登録されなかった便利なツールや無料ゲームのほか、海賊版と思われるアプリも含まれていると考えられる。

こうしたアプリに飛びついたユーザーのマシンがWireLurkerに感染し、遠隔地から悪意のある第三者によってデータを監視され、例えばiOSデバイスに保存された個人情報や金融関連の情報を盗み見られるようになってしまう。

国内ユーザーの自衛策は?

Wall Street Journalで報じられたAppleの公式声明によれば、Appleではこうしたアプリをストア登録前に事前に弾いており、Mac App Storeの公式アプリストアを利用するよう推奨している。つまり「極力怪しいサイトは使わない」というのが自衛策の1つというわけだ。

また、自身のiOSデバイスを「他のマシンに不用意に接続しないこと」も重要だ。WireLurkerはJailbreakの有無に関わらず、USB経由で接続したiOSデバイスに影響を及ぼす。もし接続先のマシンがWireLurkerに感染していた場合、この接続によってiOSデバイス内のアプリが感染してしまい、自身のデバイスまで悪意のある第三者の監視対象に含まれてしまう。

このテクニックはPCだけでなく、「そこらにあるiOSデバイス充電プラグやUSBコネクタ」も同様で、感染ルートが際限なく広がる可能性も秘めている。怪しいサイトからアプリをダウンロードする……というユーザーは少ないと思われるが、こちらについては無警戒なユーザーは多いとみられ、よく注意したい。

Unit 42では禁止という言葉こそ使っていないものの、Jailbreakは行わないよう推奨している。今回のケースではJailbreakの有無に関わらず感染してしまうため、あまり関係ないように思われるかもしれないが、今後WireLurkerの変種が登場してiOSそのものに影響を及ぼす可能性を考えると、Jailbreakはさらに被害を広げる可能性がある。Cydiaのようなサービスを利用するためにJailbreakを行っているユーザーはいると思うが、こうしたデバイスには重要なデータは保存しないようUnit 42は警告している。