フォーカス速度を体感するために電車を撮影してみたが、キヤノンらしく非常に速く、高精度で快適だった。ちなみにカタログ数値ではAFスピードは約0.21秒、撮影タイムラグは約0.23秒(撮影モード:Pモード、AFフレーム:[中央]、コンティニュアスAF:[切]、露光量:LV14)となっている。

連写は約6.4枚/秒(被写体やカードの銘柄などにより多少変動するとのこと)。一眼レフ「EOS 70D」の7コマ/秒に迫るコマ数だ。今回の試写でも、横方向の移動が大きい構図では若干コマ数不足を感じたが、より正面に近い構図では十分な手応えを得ることができた。なお、連写枚数については、LサイズのJPEGでSDカードの容量が続くまで連写可能とのことだ。

【左】このアングルでは、2コマ目と3コマ目の間にもうひとコマ欲しいところ 【下】正面寄りの画では十分な連写コマ数といえる

「クリエイティブショット」で思わず面白い写真が撮れる?

今回、使って楽しかった機能のひとつに「クリエイティブショット」がある。これは、ワンショットに付き6枚を連写、オリジナル+カメラが勝手に構図のトリミングやカラーフィルタリングをおこなった5点のバリエーションフォトが自動的に生成される撮影モード。「レトロ」「モノクローム」「スペシャル」「ナチュラル」という4つの効果カテゴリーも選択できるが、あえて撮影効果をカメラまかせにしてしまうのがおすすめ。撮り手の意志が反映できないがゆえに「おぉっ、そう来たか!」的な写真が生まれる面白さとともに、なるほどと勉強になることも少なくない。

【左】撮影モード「クリエイティブショット」を選択した状態 【右】1枚目のオリジナル写真

クリエイティブショットでは、オリジナルに加えてこのような5点のバリエーション写真が自動生成される

同じシーン(実際には連写なので微妙に違う)でも、色の処理だけでここまでイメージが変わる。モノクロの発想はなかった!

クリエイティブショット自体は多くのキヤノン製コンパクトカメラに搭載されており、PowerShot SX60 HSに限った機能ではない。だが、光学65倍ズームだからこその「撮れるものの多さ」や「表現の多様性」とバリエーションフォトの乗算関係が、クリエイティブショットの意外性と楽しさをいっそう大きなものにしてくれるよう感じられるのだ。

【左】1/3秒、f3.5、ISO400、21mm相当 三脚使用 【中】10秒、f8、ISO100、91mm相当 三脚使用 【右】1/60秒、f5、ISO800、174mm相当 フラッシュ発光

【左】1/20秒、f5、ISO1600、174mm相当 【中】HDR、魚眼風、ジオラマ風、トイカメラ風、ソフトフォーカス、モノクロなど8種類のクリエイティブフィルターも利用できる 【右】1/250秒、f6.3、ISO1600、1,193mm相当

【左】クリエイティブフィルター「極彩色」 【中】クリエイティブフィルター「オールドポスター」 【右】絞りやシャッター速度を変えるには、露出補正ボタンを押す

ズーム性能と5軸手ぶれ補正は動画にも有効

最後に、動画についても触れておこう。光学65倍ズームや5軸手ぶれ補正は動画撮影においても強い味方となるはず……と期待したが、実際に撮影してみると、さすがに望遠端での手持ち撮影は厳しいものがある(そりゃそうだ)。とはいえ、サンプル動画をご覧いただくと、カメラが大きく動いた状態から手ぶれ補正が効き、ぶれを上手く抑え込んでいく様子がお分かり頂けると思う。動画中でズームも操作しているので、望遠端と広角端の極端な距離感の差をよりリアルに感じられるだろう。

【動画】PowerShot SX60 HS 動画サンプル(30P)

なお、PowerShot SX60 HSでは、高画質な60PのフルHD撮影と、絞りやISO感度、シャッタースピードを任意で変更できるマニュアル撮影にも対応している。

【左】フラッシュ後方にはステレオマイクが配置されている 【右】外部マイクジャックも装備。動画への姿勢も本格的だ

【左】ハイスピード動画(再生するとスローモーションになる)も撮れる 【中】AppleのiMovieでの編集が軽快になる動画ファイルフォーマット「iFrame」に対応している 【右】60PのフルHD動画撮影にも対応した