次期Windowsの開発コード名として、「Threshold」という名称がメディアに登場したのは、2013年12月。2014年春にリリースしたWindows 8.1 Updateよりも前に報じられた。当時はWindows/Windows RT/Windows Phoneに加え、Xbox Oneに含まれるWindowsのカスタムカーネルを統合したプラットホームを目指すと見られてたのは記憶に新しい。実のところ、このコンセプトはWindows 8.1の開発コード名だった「Windows Blue(メディアに登場した2013年5月頃)」と同じだ。
プラットホームの統合と言えば、Windows 9xとWindows NTの統合計画を思い出すが、当時は最終的に計画をキャンセルし、Windows MeやWindows 2000をリリースしている。ただし、今回のプラットホーム統合は当時と異なり、カーネルをはじめとする大部分が共通化されていることから、技術的よりも経営的判断の影響が大きいだろう。
このような理由で今回リリースした「Windows 10テクニカルプレビュー」は再統合に至る最初のOSとなる。さらにモダンUI環境を強調したWindows 8/8.1と異なり、Windows 7以前のデスクトップ環境を重視したUIデザインを採用することで、多くの注目を集めるOSだ。そこで短期集中連載として、Windows 10テクニカルプレビューに関する注目点や新機能の使い方を紹介しよう。
Windows 10テクニカルプレビューとは
OSの開発は、アルファー版やベータ版といった一定のブレイクポイントを設け、最終的にRTM(製造工程版)に至る。これら開発途中版は一部のベータプログラム参加者やパートナー企業など限られたユーザーに配布するのが一般的だが、Windows Vista以降は一般ユーザーにも門戸を開くようになった。Windows VistaとWindows 7は2段階、Windows 8は3段階のプレビュー版をリリースしている。
今回リリースしたWindows 10テクニカルプレビューの正式名称は「Windows 10 Technical Preview for Enterprise」。ここから分かるように全機能を含むプレビュー版だ。ただし、あくまでもITプロフェッショナル向けのプレビュー版(非製品版)のため、2015年中旬を予定する正式版と内容が著しく異なる可能性があることを注意してほしい。
さらにWindows 10 テクニカルプレビューのインストール後に元の環境へ戻すには、リカバリーメディアやUSB回復ドライブの使用が必要となる。そのため、既存環境への上書きインストールなどは決して行わず、余っているPCや仮想マシン、もしくは仮想HDDであるVHDブートを用いたマルチブートといったインストール方法を強くお勧めしたい。
Windows 10テクニカルプレビューのシステム要件は基本的にWindows 8.1と同等だ。そのため64ビット版Windows 10は、CMPXCHG16b/PrefetchW/LAHF/SAHFといった特定の命令をサポートするCPUが必要となる。その他にもタッチ操作用にマルチタッチ用デバイス、インターネット接続環境などが必要になるが、特に大きな問題にはならないだろう。