9月19日、幕張メッセで開催中のゲーム展示会「東京ゲームショウ 2014」のデルのブースにて、NVIDIAが同日発表した最新のハイエンドGPU「GeForce GTX 980」のプレゼンテーションを開催。最新GPUがもたらす新たなグラフィック表現の解説を行った。

世界のPCゲーマーに支持されるNVIDIA

GeForce GTX 980は、9月19日(日本時間)に発表されたMaxwellアーキテクチャを採用するハイエンドGPU。詳しいスペックや性能については、こちらの記事を参照していただくとして、ここでは東京ゲームショウ 2014で行われたNVIDIAのテクニカルマーケティングエンジニア 矢戸知得氏によるプレゼンテーションの様子をお届けする。

NVIDIAのテクニカルマーケティングエンジニア 矢戸知得氏

NVIDIAによると世界では3億3千万人のPCゲームユーザーがおり、そのPCゲーマーに最も支持されているのがNVIDIAだという。日本でもゲーム用グラフィックカードの80%以上がNVIDIAのGPUを使っているとのこと。また、NVIDIAが支持されるのは、高性能なGPUを作っているからだけではなく、ゲームを快適に楽しむための技術をプラットフォームで提供している点が大きいという。その内容として、ゲーム開発をよりスムーズにするライブラリ群を提供する「GAMEWORKS」、ワンクリックでPCの性能に合わせたゲーム設定を行ったり、ドライバーをアップデートできるツール「GEFORCE EXPERIENCE」があるとのこと。

世界には3億3千万人のPCゲームユーザーがいて、そのうち2億人以上がGeForceを利用しているとスライドで示した

高速なGPUに加え、開発者向けのライブラリ群「GAMEWORKS」、PCに合わせた設定を自動で行う「GEFORCE EXPERIENCE」を合わせ、GEFORCEプラットフォームとした

新しい3つの機能を備える「GeForce GTX 980」

GeForce GTX 980は、電力効率を高めたMaxwellアーキテクチャを採用しているのが大きな特徴だが、プレゼンテーションでは、性能面ではなく、注目の3機能に絞って解説を行った。まず、1つ目は4Kがテーマとなった「DSR(Dynamic Super Resolution)」。これは4K相当のクオリティをフルHDのディスプレイでも楽しめる機能という。具体的には、4K相当の解像度で処理した映像をGPUを利用した高品質なダウンスケールを行うことで、美しい映像に仕上げている。なお、DSRはゲームごとに設定を行うことが可能とのこと。

GeForce GTX 980を紹介する矢戸知得氏

3つの機能に絞って解説を行った

左は通常のフルHD解像度。拡大すると草が途切れ途切れで表現されている。4K相当の映像をフルHDにダウンスケールするDSRを有効にすると、草がしっかりと表現されているのがわかる

2つ目は次世代の照明技術「VXGI」。リアルタイムに実行できるグローバルイルミネーションの技術になるという。グローバルイルミネーションは、例えば照明が床に反射し、その反射した光が周辺の物体も照らすなど、複雑な光線の反射を計算するというもの。実写に近いリアルな表現が可能になる一方で、計算負荷が非常に高いためリアルタイム性が求められるゲームでは非常に難しいとされていた。そのため、従来のGPUでは、計算負荷を抑えつつリアルにするグローバルイルミネーション風の技術が開発され、利用されてきたが、GeForce GTX 980では、GPUを利用することでリアルタイムにグローバルイルミネーションを実行できる「VXGI」技術が加わったという。Unreal Engine 4など主要なゲームエンジンに実装予定となっており、実際のゲームでも間もなく利用可能になるのが大きなポイントとのこと。

光線の反射まで計算するグローバルイルミネーション

そのグローバルイルミネーションを可能にするのが「VXGI」という技術という

スライドではUnreal Engine 4への実装はQ4(第4四半期)となっていた

VXGIを使ってアポロの月面着陸の写真の光源処理をリアルに再現するデモを行った

3つ目は「VR DIRECT」。これはVRヘッドマウントディスプレイ用の技術という。VRヘッドマウントディスプレイでは左右にディスプレイを備えることで立体視を可能にし、目の周りを覆うことで没入感を高め、さらにセンサーを利用することでユーザーの動きも検知し、ユーザーが見たいモノの方向、角度でゲームの世界を見せる、新しい体験を実現する技術として注目を集めている。しかし、VRヘッドマウントディスプレイでは、リアルな体験を実現するために高い追従性が求められ、Oculusの最新VRヘッドマウントディスプレイでは、7ms(msは1000分の1秒)ごとに新しい映像を描かなければならないという。これはGPUにとって非常に難しいチャレンジになるとのこと。そこで、一度読み取ったセンサー値をベースに処理をはじめ、レンダリングの処理の途中に再度センサー値を読み取り、その値を元にしてレンダリングの終わりかけに手直しをしてから表示する、という手順を行うことで映像の出力までの時間を大幅に短縮することができたという。この技術は、次世代のMaxwellアーキテクチャでサポートされるとのこと。今後もOculusやゲームエンジンメーカーと協力を進めていくとした。

VRヘッドマウントディスプレイ用の技術「VR DIRECT」

センサー値の読み込みとレンダリングのタイミングを調整することで、映像出力までの時間を削減しているという

GeForce GTX 980がデルの最新ゲーミングPC「ALIENWARE Area-51」に搭載されることも発表された