NTTドコモでは、9月19日より発売開始する「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」の提供にあわせて、同製品で利用できる周波数帯域を整備した「フルLTE」を提供する。これは同社に割り当てられた1.7GHz帯、1.5GHz帯をすべてLTE向けに提供するというもの。これにより、東名阪のiPhone 6ユーザーは1.7GHz帯の下り最大150Mbpsの「混まない」「速い」「つながりやすい」LTE通信が利用できるようになるという。17日に都内で開催された記者会見で、詳細が説明された。

NTTドコモでは、iPhone 6の発売に合わせて「フルLTE 1.7G」の提供を開始する

iPhone 6で利用できるフルLTEとは?

都内で開催された記者会見には、NTTドコモ 取締役常務執行役員ネットワーク部長の大松澤清博氏が登壇。NTTドコモのネットワーク整備の取り組みを「広さ・速さ・快適さ」の3つの観点から紹介した。

ネットワーク部長の大松澤氏(写真左)。同社のネットワーク整備の取り組みについて、3つの観点から紹介した

LTEに対応した基地局は、今年度中に95,300局にまで拡大する。この結果、2014年度末にはLTE基地局とFOMA基地局がほぼ同等となる見込みだという。NTTドコモでは、同社に割り当てられている周波数帯のうち1.7GHz帯と1.5GHz帯をLTE専用の"LTEフルレーン"に拡充、「フルLTE」として提供する。

LTE対応基地局は、今年度中に95,300局にまで拡大。この結果、14年度末にはLTE基地局とFOMA基地局がほぼ同等となる見込み

「フルLTE」により、下り最大150Mbpsの「混まない」「速い」「つながりやすい」LTE通信が利用できるようになる

同社では、とくに利用者が多い東名阪において昨年度から4つの周波数帯を効率よく利用できる「クアッドバンドLTE」を開始している。しかし、開始時点では1.7GHzを3G回線用として利用していた。記述の通り、これをLTE専用にし、さらに2GHz帯におけるLTEの利用幅も拡充するなどした結果、2014年度の第2四半期には無線容量が2.4倍に、最高速度は2倍になったという。

クアッドバンドLTEは、14年度2Qには無線容量が2.4倍に、最高速度は2倍になった

iPhone 6では、このうち1.7GHz帯(20MHz)、800Hz帯(10MHz)、2GHz帯(15MHz)の周波数帯(無線容量45MHz幅)の利用が可能。また、1.5G帯はAndroid専用となるため、Androidユーザーが1.5G帯に分散することで、結果として1.7G帯はiPhone6/6Plusユーザーにとって混雑せずに、快適な環境でパケット通信が利用できるという周波数帯の多いドコモならではの優位性もある。大松澤氏は「(周波数の)ベストフォーメーション」でiPhone 6、iPhone 6 Plusの発売日を迎えられると強調した。

VoLTEにも対応!

NTTドコモでは、引き続きユーザーの利用シーンに合わせてネットワークの増強を行っていく方針。JR山手線やJR大阪環状線のほか、新幹線、全国の主要63路線でパケット通信の品質向上を目指す。イベント施設では移動基地局車を稼働して対策。このほか大型商業施設のLTE屋内エリア化、富士山登山道での150Mbps対応など、エリア改善に向けて積極的に取り組んでいく。

高速LTEエリアの増強、快適さ向上の取り組みも引き続き積極的に行っていく

Android端末では2014年 夏モデルから提供を開始している「VoLTE」だが、iPhone 6でも対応する予定だ。対応すれば、iPhone 6でもLTEの安定した通信ネットワークで、高品質な音声通話が利用できるようになる。現在はまだ整備中とのことだが、大松澤氏は「できるだけ早い段階で、iPhone 6でもVoLTEが利用できるようにしたい」と意欲的に話していた。

iPhone 6も、VoLTEに対応する予定(写真左)。ドコモでは「最強のLTEを新しいiPhoneでも」として、ネットワークの面からも「ドコモ版 iPhone 6」を訴求していく(写真右)