サーコム・ジャパンは7月29日、IoT/M2M市場向けにIoT向けBeacon機能(IoT Beacon)とIoTゲートウェイを組み合わせた次世代サービスプラットフォームの創出に向けたプラットフォームならびに、同プラットフォームが切り開く未来などを記したレポートの提供を開始した。

さまざまなモノがインターネットに接続することで、それらが新たなデータ、価値が生み出されることから、そうしたモノのインターネット、いわゆる「IoT」に注目が集まっている。同社では、オリンピックイヤーでもある2020年をターゲットに、IoTを社会インフラ化していく必要があり、そこに日本企業が成長するチャンスが隠されているとし、そうしたインフラ化の実現に向けたエコシステムの構築を目指し、今回のプラットフォームやレポートを開発したという。

何故か。ハードウェアをカスタマに提供するODMベンダである同社だけでは、ソフトウェアやソリューションに関する知識が乏しいため、ビッグデータやソフトウェア処理、クラウド分野といった部分での他社とのアライアンスが必要不可欠であり、そうした企業との連携をしやすくするために編み出されたものが、同プラットフォームであり、レポートだとする。

すでに国内企業も含め、複数の企業が興味を示しているとのことで、今後、どういった役割分担でソリューションを実現していくか、といったアライアンスの枠組み作りを進め、年内にはその概要を公表できれば、としている。

サーコムがIoT普及の鍵を握るとするIoT向けBeacon(IoT Beacon)

今回、同社が提供するプラットフォームの鍵は「Beacon」だ。一般的に、BeaconはO2O向け、という認識が高いが、同社としては「IoTの実現には必要不可欠なもの」であるとの見方を示す。つまり、これまで同社が提供してきたIoTゲートウェイの先に、多数のBeaconがつながり、そこからさまざまなデータが生み出される。例えば、情報を発信するリピーター機能としてBeaconを部屋に配置し、それを制御するスマートブリッジ機能をIoTゲートウェイに搭載。高齢者やペットなどの位置情報を精確に感知することを可能にしたり、といったことも手軽にできるようになる。

IoTゲートウェイと安価なIoT Beaconを組み合わせることで、これまでにないさまざまなサービスを低価格で実現することが可能となるというのがサーコムの目指すところだという

ただし、Beaconそのものは万能ではなく、かつ、発信された情報を遠隔で受信できる環境が必要であり、なおかつ、そうしたものを生かせるキラーアプリケーションの登場が不可欠だと同社では説明する。そうした意味でも、さまざまな企業とのパートナーシップが重要になってくる。「我々のIoTはスマートホームの延長線上にあり、やがてスマートシティにつながる。また、車載型のゲートウェイもありITSなどと組み合わせたIoTのトータルソリューションの提供も可能となる。サーコムはハードウェアオリエンテッドなソリューションの提案は可能だが、さまざまな協力者がいなければ、それも絵に描いた餅になる」と同社では、来るべきIoT本格普及期に向け、さまざまな企業と協力しあっていく姿勢を強調する。

「IoTの普及が進んで行っても、ノウハウがなければそれを活用しきれるとは限らない。一方、ウェラブルデバイスや次世代半導体、ロボティクス、人工知能といった新技術もネットワークにつながる時代がくる。そうした時代に向けて、協業をもとにしたIoTのエコシステムを今回のレポート提供を機に構築していければ」、同社ではそのようにコメントしており、今後、アライアンス構築の推進と強化を図っていくとしている。

IoTゲートウェイ+Beaconにより生み出される4つの付加価値(右)と、それらの活用により実現される世界のイメージ(左)