Q:ARMの場合はパートナーを含めたエコシステムが最大の特徴な訳ですが、例えばIARであればEmbedded Workbenchで世界を統一されている訳ですよね。逆にあれは、IARを使えば富士通だろうがどこだろうが、すべて同じように作れますよ、という訳です。そうしたパートナーの方向性と、この認定試験というのは、本当にマッチするんでしょうか?

A:しませんね(笑)。それは、それぞれ立場がありまして、ひょっとすると(我々が)やってしまってはいけない部分もあるかもしれない。これはあくまでもARMというアーキテクチャや、ARMがマイコンに入った場合の技術者のレベルを測るもの。つまりARMのコアから見たところに絞らせていただこう、と思っております。

私自身はこれは面白いと思うんですよ。今、理系の大学生の方が100万人くらいいらっしゃいますから、その中の半分の方でも受けていただける様な土壌に、先ほどの教育と含めて、あとはこの試験のためのトレーニングですね。出版物も必要ですし。マイコンといっても深いんですが、どこかの出版社と一緒にやらせていただくといった形を模索しています。つまり試験はこちらで受けるけれど、その試験のための受講とかはまた新しい代理店と組むとか。

Q:そうした事を何時ぐらいに予定されているのでしょう?

A:2014年中ですね。実際にはもう動いてはいますが、本格的に大学向けですとか、今までの販社でないところとかは同年中になります。

Q:ARMは、直接Developerと繋がりがあるわけではなく、あくまでもパートナー経由という形になるかと思うですが。

A:最近は必ずしもそうではなくなってきました。先ほどの仕事の部分で言うと、私がARMに入社するまでのARMというのは半導体ベンダしか相手をしていないARMだった訳ですね。で、私がこの5年間、SalesのVPとしてやってきた事は、OEMとセットメーカー、それとエコシステムとなる、間接のソフトウェア開発の会社ですとかボードメーカーとか、そうしたところに、「ARMがより必要である」という事を、エンドカスタマから半導体ベンダに言ってもらう様な方向でやらせていただきました。そこはOSの提供を含めてますます重要になってきますので。実際、eSOLなんかはまさしくそういう形で。

Q:eSOLは確かにそうですね。ではマイコンはそういう方向で動いてゆく、と。実はこのインタビューの前にRoadshowのプレゼンテーションに目を通してきたのですが、少なくとも足元に関して言う限り、ユーザーというか採用メーカーはどんどん増えていって、業績としてはそう悪くない気がするんですが。

A:具体的に言いますと、大好況で、(売り上げも)伸び続けてます。ただ日本はどうですか? というのが問題でして。日本の責任者として何をするかというとですね、テクノロジーリーダシップが日本の強みである、と。私が良く言うのは、「日本は世界のR&Dである」ということです。社内的にはそんな言葉でDriveしていて、売り上げは上がりませんが、影響力は大きい、と。例えば携帯電話にカメラをつけたのも日本が最初ですよね。デジカメにしても、比較的日本が主導権を持ってます。TVは最近ちょっとあれですが。そういった意味での、テクノロジーリーダーシップが日本にあり、日本でDesign Winとなり、量産が中国や台湾という形になる訳です。

Q:これ(Photo03)はRoadshowの資料ですが、2017年には23billionを売ると仰ってます。23billionといったらすごいですよね。

Photo03:2017年には230億個のARMマイコンが販売されるという見込み

A:そうなんですよね。ただ実際出そうな気配はありますので。多分発表できないものの方が多いので全部は申し上げられないのですが、思わぬところに入って行ってるのが現状でして。例えばスマートフォン1台あたりでコアで言うと10とか11コアが入っています。bigLITTLEでなくても。