スマートフォンを使っていて気になるのが毎月の利用料金だ。主要3キャリアが音声通話定額をベースとした新料金プランを相次いで発表、導入しているが、通話をあまり利用しない人にとっては値上げになる場合もあり、賛否が分かれている。

MMD研究所が8月4日に発表した「スマートフォンの通話、利用料金に関する調査」では、回答者のスマートフォンの月額料金は平均6,514円で、適正だと思う月額料金は平均4,045円だったという。また、回答者の64.5%が、現在のスマートフォンの月額料金に不満を感じていることが明らかになった。

そこで本稿では、同調査結果について詳しく見ていくとともに、月額料金に不満がある場合に検討したい音声通話付き格安SIMサービスとして、「IIJmio高速モバイル/Dサービス 音声通話機能付きSIM(みおふぉん)」「BIGLOBE LTE・3G 音声通話SIM」「U-mobile」などの比較、検討を行ってみたい。

スマホの"適正だと思う"料金は平均4,045円、約6割が現状に不満

MMD研究所が実施、公表した「スマートフォンの通話、利用料金に関する調査」は、スマートフォンを所有する20代から50代までの892人を対象に実施したもので、現在のスマートフォンの月額料金や、適正だと思う月額料金などについて尋ねた。期間は7月10日から7月14日まで。

まず回答者892人にスマートフォンの月額料金を聞いたところ、平均で6,514円だった。また、64.5%が現在のスマートフォンの月額料金に不満を感じており、適正だと思う料金の平均は4,045円で、実際の料金と約2,500円もの開きがあることが明らかになった。

現状でのスマートフォンの月額料金の分布

また最近では、スマートフォンを低料金で利用できる格安SIMサービスが話題だが、格安SIMサービスの中には、キャリア番号(090/080/070から始まる番号)で通話が利用できないデータ通信専用のSIMサービスも多い。

090/080/070から始まるキャリア番号が必要かどうか

同調査では、このキャリア番号の必要性についても尋ねており、「とても必要」「どちらかと言えば必要」を合わせた87.5%が"必要"と回答した。また、必要だと思う理由については、「時々使用するので念のため」(35.3%)が最も多く、次いで「公共サービスの登録で必要」(33.0%)、「万一かかってくる時のため」(29.0%)という結果だった。

キャリア番号が必要だと思う理由

また、格安SIMカードの認知について聞いたところ、全体の84.1%が「よく知っている」または「だいたい知っている」「名前を聞いたことがある」と回答。格安SIMカードが今後普及するかについては、49.9%が「普及すると思う」または「まぁまぁ普及すると思う」と答えた。また、格安SIMカードの非利用者に利用しない理由としては、「どのSIMを選んでよいかわからない」(34.8%)、「携帯会社との契約が残っている」(33.9%)などが挙げられた。

格安SIMカードの認知度と普及予測

現在、格安SIMカードを利用していない理由

キャリアの料金に不満がある場合の音声SIMという選択肢

今回のMMD研究所の調査では、スマートフォンユーザーの約6割が現在の月額料金に不満を持っており、適正だと思う月額料金は平均4,045円であるのに対し、実際の月額料金は平均6,514円と、かなり開きがあることが明らかになった。同時に、090/080/070番号で通話できるキャリア番号には、9割近い人が必要性を感じていることがわかった。

そこで、月額料金に不満を感じることなく、低料金でスマートフォンを利用するために浮かび上がる選択肢が、音声通話付きの格安SIMサービスだ。前述の通り、格安SIMサービスではデータ通信専用のサービスも多いが、ここ最近は、音声通話付きのSIMサービスも増えてきている。これらのサービスでは、090/080/070番号を使った通話が可能で、キャリアのスマートフォンとほぼ同等の使い方が可能。また、音声通話付きSIMサービスと端末をセットにした"格安スマホ"にも注目が集まっている。

同調査では、調査結果に加え、各社の音声通話付きSIMサービスを比較表にまとめて紹介している。比較表に取り上げられているのは、IIJが提供する「IIJmio高速モバイル/Dサービス 音声通話機能付きSIM(みおふぉん)」、So-netが提供する「So-net モバイル LTE(データ通信+音声)」、日本通信が提供する「b-mobile」、BIGLOBEが提供する「BIGLOBE LTE・3G 音声通話SIM」、U-NEXTが提供する「U-mobile」の全5サービスの各プラン。

音声通話付きSIMサービスの比較表(出典:MMD研究所)
(※拡大画像はこちら)

音声通話付きSIMサービスの各プランでは、月額料金と高速通信を利用できる月間のデータ容量がおもな違いとなっている。また、キャリアの音声通話定額プランとは異なり、各プランとも音声通話は従量制となっているが、通話料は20円/30秒(税抜)で各社共通だ。そのほか、データ容量の追加チャージやMNP(携帯電話番号ポータビリティ)の可否、最低利用期間などに違いがある。

音声SIMの月間1GB、3GBプランの最安値は「U-mobile」

各社の音声通話付きSIMサービスの中でも、最も料金がリーズナブルと言えるのが、U-NEXTが提供するU-mobileだ。データ容量が月間1GBのプランは月額1,580円、月間3GBのプランは月額1,980円(いずれも税抜)で、他社の同クラスのプランと比較して最安値となっている。

U-mobileでは、8月1日よりデータ容量のラインナップを拡充するとともに、音声通話付きプランの名称を「U-mobile 通話プラス」に変更。データ容量のラインナップは、従来の月間3GBの定額制プラン、月間1GBから3GBまでの2段階定額制「ダブルフィックスプラン」に加えて、月間1GB、5GB、7GBの各定額制プランを用意している。

U-mobile 通話プラスの月額料金は、月間1GBのプランが月額1,580円、3GBが月額1,980円、5GBが月額3,380円、7GBが月額4,580円。ダブルフィックスプランはこれまでと同様で、月間の通信量が1GB以下で月額1,660円、1GB超で月額2,960円(すべて税抜)。

また、U-mobileのデータ通信専用SIMサービス「U-mobile*d」についても、データ通信容量のラインナップに1GB、5GB、7GBを追加し、名称を「U-mobile データ専用」に刷新した。さらにU-mobileでは、ファーウェイ製のSIMフリースマートフォン「Ascend G6」やプラスワン・マーケティング製の「freetel priori」といった、端末とSIMのセットプランも提供している。

*  *  *

今回のMMD研究所の調査結果では、ユーザーが適正と思うスマートフォンの月額料金は平均4,045円となったが、たとえば、U-mobile 通話プラスの月間3GBのプランを利用した場合、月額1,980円で通話料は20円/30秒(ともに税抜)となっているため、4,045円の料金で月間約44分の通話が可能だ。

一方、キャリアの新料金プランでは、個人で契約した場合の最安のプランが月額6,500円(税抜)となる。音声通話は定額利用が可能だが、データ容量は月間2GBとU-mobileよりも少なくなっている。

通話する機会がそれほど多くない人にとっては、U-mobileを利用すれば、料金を"適正な"範囲内に収めることが可能であり、なおかつキャリアの月額料金と比べてもかなり安いことがわかる。また、上記の比較では、データ容量はU-mobileのほうが多く、データ通信を利用する上でも魅力的だ。現在のスマートフォンの料金に不満がある場合に、U-mobileをはじめとする音声通話付きSIMサービスに乗り換えるのは、かなり有力な選択肢と言うことができるだろう。