PCのコモディティ化が進んでいる昨今、オーバークロックは以前にも増して趣味化しつつある。そんなマニアックなユーザー向けにGIGABYTEが立ち上げた同社マザーボードの製品ラインナップが「OCシリーズ」。スタンダードモデルとなる「Ultra Durableシリーズ」、ゲーマー向けの「ゲーミングシリーズ」に並ぶ、GIGABYTEの3本柱の1柱だ。今回はその中から、コストパフォーマンスに優れた「GA-Z97X-SOC」を紹介しよう。

オーバークロッカーのニーズに合わせた機能を備えるOCシリーズの「GA-Z97X-SOC」。オレンジを基調としたカラーリングが目を引く

「GA-Z97X-SOC」のパッケージと同梱品。パッケージのイメージイラストは、最速を目指すフォーミュラカーだ。付属品は必要最低限だが、バックパネルは裏面にウレタンフォームが貼り付けられた製品が同梱される

"Devil's Canyon"のオーバークロックに対応する電源設計

「GA-Z97X-SOC」は、「Intel Z97 Express」チップセットを搭載したマザーボードだ。ATXフォームファクタという限られたスペースにオーバークロック用の数々の機能や操作ボタンが詰め込まれている。LGA1150のCPUに対応し、特に本年6月4日に発表された"Devil's Canyon"こと「Core i7 4790K」、「Core i5 4690K」などを利用する際に力を発揮してくれるだろう。大きな負荷が予想されるオーバークロックモデルだけに、GIGABYTEの定める品質基準「Ultra Durable」にしっかりと準拠しており、厚手の金メッキが施されたCPUソケットやブラックコンデンサなどのパーツが使用されている。

接触不良などのトラブルを防止してくれる、厚手の15μ金メッキが施されたCPUソケット。1万時間の動作保障を誇るブラックコンデンサも確認できる

オーバークロックモデルといえば重厚な電源設計がイメージされるが、CPU周辺は思いのほかスッキリとした印象を受ける。MOSFETに取り付けられているヒートシンクも実にシンプルだが、この理由はOCシリーズに採用されているInternational Rectifier製の電源回路にある。MOSFETドライバー、ハイサイドMOSFET、ローサイドを統合してワンパッケージ化したPowIRstage ICにより、従来のMOSFETよりもはるかに少ない部品点数で低発熱と高効率を両立しているのだ。回路構成は4フェーズと、数字だけを聞くと少ない印象を受けるかもしれないが、1フェーズあたり60Aの出力が可能なため、4フェーズでも240Aの高出力に対応できる。またCPUに十分な電力を供給するために、4pin+4pinの一般的なCPU電源用8pin12V電源コネクタのみならず、4pinのコネクタを追加で接続可能。急な電力要求にも安定した動作が見込めるだろう。

ヒートシンクを外すとPowIRstage IC「IR3553M」が確認できる。CPUソケットの上部に取り付けられているのはPWMコントローラの「IR3564B」

CPU電源コネクタは一般的な8pin構成に加え、さらに4pinを接続できる。通常利用時には8pinのみでも、4pinのみでも動作は可能だ

4本のDDR3メモリスロットを備えており、検証時に簡単に脱着が可能なよう、固定具は片側のみに用意されている。Intel 9シリーズが対応している1600/1333MHzだけでなく、DDR3-3300までのメモリに独自に対応。Extreme Memory Profile (XMP)にも対応しているため、準拠した製品を使用するとさらに性能を引き出すことができるだろう。