「可愛すぎる」「おもちゃっぽい」を解決
第2世代のFloral Kissは第1世代同様、社内では「エレガントPCプロジェクト」の名称で、コアメンバーを女性だけに限定して開発を進めた。プロジェクトメンバーは第1世代と同じメンバーだが、途中、出産や夫の海外赴任に同行するといった理由でメンバーは減少した。「それでもなにかあると、LINEで情報交換をしながら、ヒントをもらった」と笑う。
実は、鬼澤氏には、デタッチャブル型の2in1 PCとして、第2世代のFloral Kissを製品化を進めたいという構想があった。「スマートフォンやタブレットの普及によって、PCを使う頻度や時間が短くなってきた。これを踏まえて、次はタブレットだと想定した」というのがその理由だ。だが、この企画は壁にぶつかることになる。
「女性のタブレット所有実態を調査すると、自分で購入したのではなく、貰って使っている人が多いことがわかった。何かのイベントで当たったという人もいる。自分の財布からタブレットを購入するという例が少ないのに加え、価格に対してシビアにみられる商品である」。
Floral Kissの基本コンセプトを踏襲すれば必然的に価格は高くなり、デタッチャブル型の2in1 PCとはいえ、「タブレットにはそこまでお金を出したくない」というユーザーに対して中途半端な提案になってしまう。また、購入者への調査でも、女性の約9割にPCが必需品だと認識されており、「PC」としてしっかりとした機能を搭載したものが欲しいという声の方が多かった。
「それならば、20~30代の女性が本当に欲しいと思えるPC、という基本姿勢に立ち返って、PCとして5年以上持つものを提案するほうがいいと判断した」とする。もちろん、第2世代でもデザイン性はFloral Kissを象徴する大きなポイントであることは変わりない。そこでも第1世代の振り返り調査からの声を強く反映した。
「デザインについてはおおむね高い評価を得ていた。だが、声を細かく分析してみると、『ちょっと甘すぎる』という意見があった」。甘すぎるというのは、可愛すぎるという意味だ。
「格好いいとか、できる女性といった要素が欲しいということを、約半数の方々に言われた。そこで、大人の女性を意識したデザインを心がけた」
第1世代はパワーボタンを真珠調にし、ステータスボタンにもダイヤモンドカットストーンを配置していたが、「かえってごちゃごちゃしてみえるという声もあったので、今回はビジューで統一した。女性らしいポイントを押さえつつ、要素は絞り込んだ」という。
また、キーボードの色味や質感にもこだわり、第1世代で一部に出ていた「おもちゃっぽい」という意見も解決した。
「キーボート部などはLIFEBOOK SHシリーズを踏襲しているが、SHシリーズではシボ加工された表面部のシボも取り、ファンクションキーはツヤ塗装、レターキーはマットな塗装で塗り分けている」と、Floral Kissならではの加工を施している。
さらに、第1世代では、女性が感じる可愛さを、付属するマウスやACアダプタにも装飾として施していたが、ACアダプタも目立たなければ装飾はいらないという声があり、シンプルなものへと変更。マウスは今回の製品では、タッチパネル搭載としたことで見送るなど、コストバランスとの両立も図った。