AIO低価格化に向けMicrosoft協議中!? 専用Windowsの可能性も

Intelはさらに、COMPUTEX TAIPEIにおいてSamsungと協業し、4Kディスプレイや4K対応AIOの低価格化推進を図ることをアナウンスし、年末までに23.6インチモデルの価格を399ドル以下に、4K対応AIOは999ドル以下で販売できる体制を整える。

Intelは、Samsungやディスプレイベンダー、PC OEM/ODMベンダーと協力し、低価格な4Kディスプレイおよび4K対応AIOを年内に投入できるようにする

Intelは、そのパートナーとしてViewSonicと台湾の大手テレビ・ディスプレイODMベンダーであるTPVが低価格4Kディスプレイで、台湾のECS、MiTAC、MSIに加え、中国のHibertek、Loop International、Wibtekが低価格4K対応AIOで協業することも明らかにした。グラフ氏はこの協業関係について、「現状、4Kディスプレイは価格が高すぎて、一般ユーザーは手が出しにくいが、この価格を一般ユーザーにも手がとどき安い価格帯まで下げれば、デスクトップPC市場拡大のための武器になる」と見る。

台湾TPVの低価格4Kディスプレイ

MSIの4K対応AIO

中国Loop Internationalの4K対応AIO

台湾MiTACの4K対応AIO

中国Wibtekの4K対応AIO

ただし、最新の3Dゲームを4K環境で楽しむとなれば、CPU内蔵グラフィックスでは心許ない。また、ビデオ機能については、4Kテレビ放送ではHVEC (High Efficiency Video Coding : H.265)対応だけでなく、HDCP 2.2対応が必要となるため、現行プラットフォームでフルサポートすることは難しい。このため、Intelとしては「すでに4K撮影できるカメラは個人に普及し始めており、こうしたビデオコンテンツを個人で編集・再生する用途からスタートしてほしい」(グラフ氏)と考えているようだ。なお、Intelブースやオーバークロック大会では、TVPの4Kディスプレイや、Loop International、MiTAC、MSI、Wibtekの4K AIOも展示され、同社がデスクトップPCプラットフォームの4K移行を本気で加速させる意向であることを伺わせた。

一方で、同社はAIO市場でも低価格化への期待が大きく、AIO全体では2001年から2013年では16%の市場拡大となっているが、価格帯別に分析すると、399~599ドルでは27%、399ドル以下では35%の成長と、ユーザーがより低価格な製品を求めていると分析。このため、グラフ氏は「年末までには、Bay Trailベースの低価格AIOが、パートナーや主要ODMベンダーから出荷される見通しだ」として、AIOについても低価格化を推し進めたい考えを示す。

ただし、低価格化の実現には、9インチ以下のタブレット端末とは異なり、OSのライセンス料が重くのし掛かる。そこで、グラフ氏は「各国の価格的なスイートスポットに会わせて、Windowsだけでなく、AndroidやChromOSも選択できるのが、Intelアーキテクチャの優れた部分だ」とアピール。また、同社関係者は「AIOの低価格化についても、Microsoftと話し合いを進めている」としており、今後の動向にも注目が集まる。

さらに同社は、AIO市場へのテコ入れ策として、バッテリを搭載した過般型AIO「Portable AIO」を本格的に立ち上げる。語弊を恐れずに言えば、Portable AIOとは、18~23インチクラスのAIOにバッテリを内蔵する大型タブレット的製品。同社は、このPortable AIOをノートPCとデスクトップPCの両方の性格を持ち合わせ、常には持ち歩かないが、必要なときは家庭内で移動するだけでなく、会社や出先にも持ち運べるデバイスと位置づけており、今後、AIO市場を活性化させる新機軸と見ている。

Portable AIOや、ミニPCといった新規カテゴリも、デスクトップPC市場の牽引役として期待される

ECSのPortable AIO「V20」(写真左)は、CPUにBay Trail-Dを採用するとともに、バッテリを搭載した20インチ液晶タイプ。むろん、タッチインタフェースにも対応する

また、2014年のミニPC市場については、IntelがNUCを市場投入した2012年から比べると2.5倍となる2,000万台の出荷を見込んでおり、主要OEM/ODMベンダーから年内に20種類の製品が投入される見通しだと言う。ただし、Intelが定義するミニPCは、

  • PCの容量が2.5リッター以下であること
  • 無線LAN機能を備えていること

という条件であり、NUCやGIGABYTEのBRIX、ECSのLIVAといった超小型PCだけを指すものではない。同社によれば、この20製品にはAppleの「Mac Mini」や、ASUSTeK ComputerがCOMPUTEX TAIPEIで発表した「ROG GR8」も含まれるため、超小型PCが一気に増えるわけではない。それでも、GIGABYTEやECSはBRIXやLIVAのラインナップ強化を計画しており、年末にかけてさらなる新製品が登場する期待も高まる。

GIGABYTEはGeForce GTX 760M搭載BRIX Gamingなどの投入を計画。4Kでゲームも楽しめる超小型PCとして差別化を図る

Bay Trail-Mベースの超小型PC「LIVA」のマザーボード。ECSでは、年内に機能強化モデル、来年には新製品の投入を計画中だ

ECSブースに展示されたIntel NUC。実は同社が製造を請け負っているための展示なのだが、なにやら見かけない基板とケースも……

ASUSTeK Computerの小型デスクトップPC「ROG GR8」も、Intel的にはミニPCのカテゴリに入る製品だという

グラフ氏は、デスクトッププラットフォームの大幅強化により、「2014年をデスクトップPC復活の年にする」と宣言するとともに、当初の計画通りに2015年には"Broadwell"ベースのCPU倍率ロックフリー版を投入することを予告。今後も継続してデスクトッププラットフォームへのテコ入れを行なう意向を示した。

2015年にはIris Proグラフィックスを統合したBroadwellベースの倍率ロックフリーCPU(Kシリーズ)の投入も予告されている