文脈から読み取る変換機能

次は変換機能。スマホで文字入力をしたくないという人の多くは、この変換機能に悩まされていることが多い。筆者はそれほど気にしたことがないが、入力があまり速くない人にとっては結構なストレスらしい。

ATOKはもともと変換候補の充実っぷりがすごいので、この部分については何も心配していなかったが、いい意味で驚かされたのは間違えやすい言葉の変換候補を完璧に出してくれたことだ。

この場合、「確立」が正解で

こっちだと「確率」が正解となる

たとえば「かくりつ」と入力して変換した場合、「確率」と「確立」の2つが候補にあるわけだが、たいていの場合は前に使った漢字を第一変換候補として出してくることが多い。

しかし、ARROWS NXでは、「かくりつ」の前後の文脈を読み取り、その都度正しく変換してくれるのである。「自己をかくりつ」なら「確立」だし、「失敗のかくりつ」なら「確率」が最初に出てくる。この点に関しては他の入力システムよりも格段に頭が良い。文字を変換したとき、目当ての漢字がなかなか見つからず、画面をスクロールさせて探すのでは、文章を書くテンポが悪くなってしまう。文字入力の"かゆいところ"に手が届く仕様は、さすがATOKだ。

また、郵便番号や町名を入力するだけで詳細な住所に変換してくれたり、著名人などの固有名詞に強いのも原稿を書く上では強い味方となる。変換候補に英語が出てくるのも地味に嬉しい機能だ。これ、何が便利かって、読み方はわかっているけど綴りがわからない英単語を一発で出してくれるところ。たとえば「アーカイブ」と入力すれば「Archive」を変換候補に出してくれるので、「Arcive」みたいな恥ずかしいミスをしなくて済むのである。このあたりは、日本語を知り尽くしている国産日本語入力ソフトならではの強みだ。