続いて登壇したソフトバンクの孫正義社長も、2010年と比較して2020年にはトラフィックが1,000倍になるとの試算を出し、五輪ではそれ以上のトラフィックが集中すると見る。

ソフトバンクの孫正義社長(左)

そのため、現在総務省の周波数再編アクションプランで検討されている無線LAN用の5GHz帯の帯域(5350~5470MHz、5725~5850MHz)120MHz幅ずつに加え、5850~5925MHzの75MHz幅に拡張して早期に開放することを提案。これによって、無線LAN環境を強化したい意向だ。

さらに、加藤社長と同様に携帯電話用に周波数帯域を開放することも提案。これは、東京を電波特区として、「最低でも五輪期間中に、最低でも競技開催エリア」(孫社長)で開放するよう求める考え。周波数帯は、1710~1745MHz・1805~1840MHzの1.7GHz帯(Band 3の一部)、2300~2400MHzの2.3GHz帯(Band 40)、3.6~3.8GHzの3.7GHz帯(Band 43)で、利用者はいるが、「普段あまり利活用されていない」(同)という。

この帯域は、海外で携帯電話用に利用されている周波数帯で、訪日外国人が持っているスマートフォンはそのまま利用できる可能性があるため効果的とみている。一部は防衛省が使っていると言うが、先のロンドン五輪でも防衛用途の周波数帯を一時的に開放した事例があるとして、同様に対策を求めたい考えを示す。

無線LANについては、訪日外国人がいつでも自由に使える利便性を確保すると、不正アクセスや情報漏えい、なりすましといった犯罪利用が増える危険性がある。そうした利便性とセキュリティを踏まえた議論が必要としており、今後の話し合いの必要性を強調した。

孫社長は、米国での事業の経験から、日本の携帯ネットワークは世界最大のトラフィックを抱え、世界一のネットワークを構築している、と強調。その中で同社は、都内には5つの周波数帯で16,000局を設置し、無線LANスポットも46万と最多である点をアピール。

災害対策では、移動基地局やバッテリーの増強、72時間無停電運転設備、気球無線システムといった対策を行っているという。