パナソニックは5月20日、電球1つで2つのあかりを実現するLED電球「明るさ・光色切替えタイプ」4機種を発表。それに合わせて、報道関係者を対象としたトークセッションおよび製品のデモストレーションを行った。

LED電球「明るさ・光色切替えタイプ」

発表されたのは、廊下に適した明るさへ切り替えができる「LDA9L-G/KU/RK/W」および「LDA9D-G/KU/RK/W」、ダイニング向けの光色切り替えタイプの「LDA9-G/KU/DN/W」、浴室向けの光色切り替えタイプの「LDA9-G/KU/YK/W」の合計4機種。価格はオープンプライスだが、市場想定価格はいずれも5,000円前後としている(税別)。

パナソニック エコソリューションズ社ライティング事業部ライティング機器ビジネスユニットLED光源グループ・西浦義晴グループ長

取り付け場所の生活シーンに合わせて2つの明るさや光色に切り替えが行えるのが特徴。6月20日から発売し、月産5万個を目標としている。

パナソニック エコソリューションズ社ライティング事業部ライティング機器ビジネスユニットLED光源グループ・西浦義晴グループ長は「消費税率の上昇、電気料金の高騰など生活コストが上昇し、節約モードが広がる一方で、こだわりのあるものにはお金をかけるという生活者動向がみられている」とした上で、「LED電球は、節約や省エネの代表製品であるが、まだ普及率は28%に留まる。省エネ、長寿命に加えて、生活スタイルを起点とした新たな生活価値の提案が需要創造につながると考えた」と説明する。

パナソニックの試算によると、居室には2億4,000万個、非居室には3億700万個の照明が使われており、そのうち、リビング・ダイニングが5,400万個(そのうち3,400万個がE26口金)と最も多く、次いで廊下の5,100万個(同3,100万個)、浴室が2,850万個(同2,600万個)と続く。パナソニックでは、住居において電球が多く使われているリビング・ダイニング、廊下、浴室という3つの場所において、生活シーンを分析することで快適性向上を目的にLEDの新製品を開発したという。

スイッチの操作により、外周のLEDと内周のLEDの回路が切り替わる仕組みを採用。既設のスイッチ構造をそのまま利用して、ランプ交換だけで手軽に置き換えることができるのが特徴だ。一度スイッチをオフにして、もう一度オンにすると内周と外周のLEDが切り替わり、異なる灯りを実現する仕組みとなっている。

食事の際はおいしく、勉強や仕事時には文字が読みやすいダイニング向け

ダイニング向けLEDでは、食事がおいしく鮮やかに見えるRa90の高演色LEDチップを搭載。切り替え時には勉強や仕事をする際に、文字と紙とのコントラストがはっきりとし、文字が読みやすい色温度6200Kの光を搭載した。

昨今では、「個食」という家族がそれぞれに食事をする生活から、「住育」という言葉に代表されるように、家族が子供となるべく多くの時間を一緒に過ごすという動きが出ている。パナホームの調べでは、子供が小さいときには、リビングやダイニングで一緒に過ごしたいという家庭が8割を占めたという。

「小学生の子供を持つ家庭の約6割がダイニングで学習するという調査結果がある。また、お父さんがダイニングで仕事をするという例も多い。食事の際にはだんらんの灯り、勉強の際にはくっきりとした灯りを実現する。小中学生の子供がいる家庭には適したLEDだといえる」と西浦氏はいう。

ダイニング向けLEDでは、Ra90による食事がおいしく鮮やかに見える照明と、文字が読みやすい色温度6200Kの光を搭載

夏場は白さを、くつろぎたい時には深い電球色の浴室向け

一方で浴室向けLEDでは、季節や気分に合わせて灯りを選択できるようにし、夏場やシャワー時に白さが際立つ6700Kの昼光色を採用。冬場やくつろいで入浴したい際には、色温度2000Kの深い電球色を実現し、これを切り替えることができる。

西浦氏は「その日の気分や、家族ごとに(人によって)入浴形態が異なる。短時間で洗うことに集中するあっさり派や、お風呂は癒しの空間としているのんびり派などがある。2000Kという色温度は、くつろぎ感を得られることがわかっており、照明ひとつで異なる空間として楽しむことができる」とした。

【写真中】浴室タイプではシャワーの際には昼光色を採用 【写真右】くつろぎの入浴の際には、色温度2000Kの深い電球色を実現した

深夜に起きても明るすぎない廊下向け

また、廊下向けのLEDは、電球色と昼光色の2タイプを用意。いずれも普段の灯りは60形の明るさを実現する一方、夜間は常夜灯として利用できるようにした。常夜灯として利用する場合の消費電力は0.5Wで、1日に7時間使用しても、電気代は1年間わずか35円で済む。

「夜中にトイレに起きる人は、週1回以上で45%。50歳以上では週3回以上という人が約3分の1に達する。また、夜中に目覚めたとき、電気を点ける人は38%、点けない人が55%に達する。深夜に灯りを点けるとまぶしいという不快感があり、かといって点けないと真っ暗な状態なので、つまずいたりといった安全面での問題がある。寝るときに常夜灯に切り替えておけば、深夜に起きてもまぶしくなく、周囲をほんのりと照らすことができて安全性も確保できる」と西浦氏はそのメリットを強調した。

同社では、2014年度の新製品販売数量のうち約10%を今回発表した製品で占める考えであり、「快適性、利便性、デザイン性、安全性を追求した新たな段階の未来のあかりを提案していく」としている。

インテリアコーディネーターの荒井詩万氏

会見に参加したインテリアコーディネーターの荒井詩万氏は、「リビングやダイニングで子供が学習をするケースが増えており、灯りが重要になっている。また、生活シーンに応じて一室多灯の環境で利用する人々も増えている。灯りによって違うシーンを作り上げ、より楽しい生活を送るという流れがある。今回の製品は、1つの灯りが2つの役割をこなせて大変魅力的である」と述べた。

なお、同社では6月20日に、波紋形状の新たなデザインを採用したLEDシーリングライト「HH-LC720A」(市場想定価格は75,000円前後=12畳用)と、電球色の間接光と読書に便利な昼白色のあかりを実現する2Way LEDスタンド「SQ-LE530」(市場想定価格は14,000円前後)を、それぞれ発売することも発表した。

【左】波紋形状の新たなデザインを採用したLEDシーリングライト「HH-LC720A」 【右】2Way LEDスタンド「SQ-LE530」

動画

形状を変えるだけで自動的に間接光から読書に最適な昼間色に変わる(動画再生はこちら)