ウィンドウズ デジタル ライフスタイル コンソーシアム(WDLC)主催による学生向けのコンテストイベント「Digital Youth Award 2014」の決勝大会が、4月12日、KDDIホールにて開催された。

WDLC会長の日本マイクロソフト 執行役 常務 香山春明氏

次世代を担う若者へのICT活用提案を通じ、国際競争力はもちろん、世界を相手に実社会で活躍できる人材の育成を目指した「Digital Youthプロジェクト」の一環として、16歳以上29歳未満の学生を対象に行われているコンテストだ。

Digital Youth Awardは二度目の開催となり、今回のテーマは「だれかをハッピーにするタブレットアプリ」。様々な趣向を凝らしたアイデア・アプリの応募総数は600以上、厳正な審査を通過したアイデア・アプリ各部門5組が、ファイナリストとしてステージに立ち、会場に詰め掛けた聴衆や審査員、そしてUstreamで視聴するオーディエンスに向け、最終プレゼンテーションを行った。

若者らしさが詰め込まれたアイデア部門

アイデア部門の最終プレゼンテーションが幕を開けた。

トップバッターとして登壇したのは、鈴鹿工業高等専門学校のチーム、カプサイシン。「PrintScan」は学生の勉強を支援するアプリで、教科書や授業中に取ったノートをタブレットマシンのカメラで撮影し、オリジナルの暗記シートを自動作成できるというもの。いかにも学生らしいアイデアが光る。また、自動作成された暗記シートをカスタマイズすることが可能で、授業中に「ここテストに出るから覚えておけ」という先生の何気ないひと言も、キチンとフォローできる。

鈴鹿工業高等専門学校の有志、チーム名「カプサイシン」によるプレゼンテーション

手描きのノートも「PrintScan」を用いれば、あっという間に暗記シートへと早変わり。共有機能を使って、友人同士で暗記シートをシェアすることも可能だという

続いて登壇したのは、遠距離恋愛の二人をハッピーにするアプリ「Shionpush」を発表する吉田圭汰さん。タブレットPCで二人の想い出を作り、可視化・記録するというもの。

「遠く離れた場所でも共有できるものは何か?」と考え、全国にチェーン展開しているファミリーレストランやカラオケ店と協力し、離れた場所であっても共通の体験を可能にするという。例えば、メニューをともに見ながら、遠隔地の彼女とビデオチャットを行ってデート気分を再現するといった使い方。また、恋人との共有ライフログを記録でき、蓄積されたライフログを「手に持てるモノ」として書籍化することも視野に入れていると、意欲的だ。

拓殖大学工業部デザイン学科に所属する吉田圭汰さん

ビデオチャットを行いながら、まるで同じ空間でメニュー選びをしているかのような雰囲気を醸し出す機能や、共有のライフログを残すなど、彼女への思いがギュッと詰め込まれていた

次いで登壇したのはTeam Green。彼らのアイデア「あぐりば」は、農業に携わる人々のナレッジを共有するサービス。農業の世界に飛び込みたい若者、農業に従事している人、今は農業を離れてしまった高齢者などを相互につなぐという。

舞台上を広く使い、サービスのターゲットとなる「若者」「農家ナウ」「農家ワズ」、それぞれに扮した芝居も演じた。聴衆を惹き付けていたが、残念ながら制限時間をオーバー。アイデアの詳細を披露しきれなかったのは、心残りとなったことだろう。

野菜作りが生き甲斐なおばあちゃんが、もし、その生き甲斐を失ってしまったら。そんな想いから、新たな生き甲斐の場、そして農業についてナレッジ共有を促進する場を提供しようと考えられたのが「あぐりば」だ

続いては、コンテストに応募した時点では女子高校生だった小林萌恵さん。「女子高生はやりたいことについて真剣に話せる場が少ない!」との実体験にヒントを得て、企画したのが「Challenge for SHS」だ。全国の高校生をつないで、語らいの場や仲間作りの場として利用してもらうというもの。単に高校生同士だけではなく、企業を協賛社として巻き込み、市場リサーチやPRが行えるようにするなど、ビジネス展開も踏まえたアイデアに仕上がっていた。

現在は慶應義塾大学商学部に所属する小林萌恵さん

コンテスト応募当時は女子高生だった小林さん。高校生を対象とした講演会やワークショップの少なさに、「やりたいことについて真剣に話せる友だちがいない!」と問題意識を持っていたという

「Challenge for SHS」では、高校生に向けて、アイデアを切磋琢磨し合う場や仲間との出会いの場を。また、協賛企業に向けては、高校生というセグメントで市場調査やPRなどが行えるよう、ビジネスモデルまで含めて考え込まれていた

アイデア部門最後の登壇者、「ぽよとぅす」による新聞記事キュレーションアプリ「One Topic」のプレゼンテーションでは、新聞を読む若者の減少を問題提起した。自分自身の興味が薄い情報にも触れられる新聞のメリットを再評価するとともに、親が「愛のあるキュレーター」となって読んでもらいたい新聞記事をピックアップ。ひとつの物事に対して、幅広い知見を得ようとする姿勢を育むことができるとした。また、新聞を読むきっかけとして、最終的には自ら率先して新聞を読み、多角的な情報収集が行えるような人材育成も視野に入れていた。

様々な情報が集約されるという新聞メディアの特性を活かし、親が子供に読んでもらいたい記事をキュレーション。子供は親が選択した記事をチェックできるほか、その記事のトピックに関連した書籍や、テレビ番組の情報なども閲覧できる工夫がなされている