総務省に提出したところ、担当者からは「議論をフラットな状態で進めるという感触を得た」(藤田氏)という。もともと、実際に議論が特定の方向に進んでいるという「事実」自体は、3社らも確認はしていない。NTT側が規制緩和へのアピールを強めていることに対して、既存事業者の反発が今回の要望書に繋がったようだ。

今回要望書に名を連ねた企業は、特にKDDIやソフトバンクのようなライバル企業も含まれており、「2020年代に向けた情報通信政策の在り方」に関しては各社それぞれの見解を持っている。その状況でも、「NTTの規制緩和」という1点においては共通見解をまとめた。

例えば固定と携帯を契約することで割り引く「セット割」は、KDDI・auユーザーに対してはメリットがあるものの、規制によってNTTグループは提供できないため、NTTユーザーが不利益を被る立場にある。しかし、過去の経緯に加え、いまだに国の関与が強い中でこうした連携を許してしまうと、市場支配力によって、自由な競争にならない、といった各社の危機感が要望書の提出に繋がった。

藤田氏や徳永氏は、「特にこれというきっかけがあったわけではない」としつつ、報道から垣間見えるNTTの思惑に危機感を抱いたことから意見を取りまとめたところ、「ここ数日」(藤田氏)で65事業者・団体から賛同を得られたこともあり、来週から始まる審議会を前に要望書を提出したという。CATVに関しては、個別ではなく370社が加盟する日本ケーブルテレビ連盟が名を連ねており、ISP、キャリアらを含めて、ほぼ「非NTT連合」といった様相を呈している。