春の新生活シーズンを前に、スマートフォンの新規購入・乗り換えを検討している人も多いと思う。そこで今回、各社のiPhone/Androidスマートフォンの最新機種を使い、都内でスピードテストを実施。各社のネットワーク環境をチェックしてみた。

調査地点としては、間もなく始まるお花見シーズンに先がけ、都内でも人気のお花見スポット10カ所を選出した。お花見スポットでもネットワークの強いキャリアはどこだったのか、さっそく紹介していきたい。

お花見シーズンに先がけ、都内の人気お花見スポットで最新スマホのスピードテストを実施

都内の人気お花見スポット10カ所で最新スマホのスピードテスト

今回、調査に使用した端末は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク3社の「iPhone 5s」(アップル製)およびAndroidスマートフォン(以下、Android)の最新機種。Androidはドコモが「Xperia Z1 SO-01F」(ソニー製)、KDDIが「Xperia Z Ultra SOL24」(ソニー製)、ソフトバンクが「AQUOS PHONE Xx 302SH」(シャープ製)で、いずれも各社が提供する最新のハイスペックスマートフォンとなっている。

スピードテストに使用した端末は、携帯各社の「iPhone 5s」

携帯各社の最新Android端末、ドコモの「Xperia Z1」、KDDIの「Xperia Z Ultra」、ソフトバンクの「AQUOS PHONE Xx」でもスピードテストを実施

スピードテストを実施したのは、都内で人気のお花見スポットである「隅田公園」「上野恩賜公園」「浜離宮恩賜庭園」「日比谷公園」「千鳥ヶ淵緑道」「靖国神社」「井の頭恩賜公園」「目黒川」「代々木公園」「新宿御苑」の計10カ所。計測方法は「RBB TODAY SPEED TEST」アプリを使用して各地点で3回ずつ速度を計測、その平均値を実測値とした。期間は3月18日、19日の2日間。

結果をまとめると、都内10カ所の平均下り速度で最速となったのは、iPhone、Androidともにソフトバンクだった。また、ソフトバンクは平均上り速度でも首位となった。iPhoneの下り速度の順位は、首位がソフトバンクで24.8Mbps、次いでKDDIが2位となり18.1Mbps、3位はドコモで16.7Mbps。また、Androidの順位も同様で、首位がソフトバンクで27.0Mbps、2位はKDDIで18.5Mbps、3位はドコモで10.9Mbpsとなった。

各所のスピードテストの結果をチェック

それでは、都内のお花見スポット10カ所で実施した、各社iPhone、Androidのスピードテストの結果を詳しく見ていこう。

都内10カ所で実施した3社のiPhoneの速度計測結果 (拡大画像はこちら)

都内10カ所で実施した3社のAndroidの速度計測結果 (拡大画像はこちら)

まずは、東京スカイツリーもほど近い浅草にある隅田公園で計測を行った。下り速度で首位となったのは、iPhone、AndroidともにKDDIで、iPhoneの下り速度は45.0Mbps、Androidの下り速度は47.2Mbps。ソフトバンクは2位となったが、iPhoneの下り速度が24.9Mbps、Androidの下り速度が32.4Mbpsといずれも高速だった。ドコモは、iPhoneの下り速度が8.1Mbps、Androidの下り速度が3.2Mbpsと振るわなかった。

東京スカイツリーを臨む隅田公園から計測を開始

上野に移動し、上野恩賜公園でも計測を行った

次に上野に移動し、上野恩賜公園で計測を行った。下り速度で首位となったのは、iPhone、Androidともにソフトバンクで、iPhoneの下り速度が59.6Mbps、Androidの下り速度が43.2Mbps。2位はドコモで、iPhoneの下り速度が42.2Mbps、Androidの下り速度が31.8Mbps。3位のKDDIは他社と比べると若干速度が劣り、iPhoneの下り速度が19.9Mbps、Androidの下り速度が11.4Mbps。ソフトバンクのiPhoneが約60Mbps近い高速を記録したほか、ソフトバンクのAndroid、ドコモのiPhoneも40Mbps超となったのが印象的だ。

3カ所目の計測場所は、汐留にある浜離宮恩賜庭園。園内では菜の花畑が満開となっていた。iPhoneの下り速度で首位となったのはソフトバンクで11.7Mbps、2位はKDDIとなり10.8Mbps、ドコモは5.7Mbpsで3位だった。Androidの下り速度では、首位はKDDIで13.4Mbps、2位がソフトバンクで12.7Mbps、3位はドコモで5.9Mbpsとなった。iPhone、AndroidともにKDDIとソフトバンクが接戦となり、ドコモがやや引き離されて3位という結果だった。

汐留まで移動し、浜離宮恩賜庭園にて計測を実施

続いて日比谷公園に向かい、計測を行った

次に計測を行った日比谷公園では、花見シーズンに備えてテントの設営が行われていた。スピードテストの結果は、KDDIがiPhone、Androidともに下り速度で最速となり、iPhoneの下り速度が20.8Mbps、Androidの下り速度が30.9Mbps。ソフトバンクは2位となり、iPhoneの下り速度が18.6Mbps、Androidの下り速度が13.9Mbps。3位のドコモは、iPhoneの下り速度が11.1Mbps、Androidの下り速度が7.9Mbps。iPhoneではKDDIとソフトバンクが接戦だったが、AndroidではKDDIが頭ひとつ飛び抜けた結果となった。

続いて九段下に移動し、千鳥ヶ淵緑道にて計測を行った。首位はソフトバンクで、iPhoneの下り速度が15.2Mbps、Androidの下り速度が15.8Mbps。2位となったのはKDDIで、iPhoneの下り速度が11.6Mbps、Androidの下り速度が9.6Mbps。ドコモはこちらでも3位となり、iPhoneの下り速度が7.5Mbps、Androidの下り速度が8.5Mbpsだった。

開花すると桜のトンネルのようになる千鳥ヶ淵緑道でも計測

日本武道館もほど近い靖国神社に向かい、計測を行った

靖国神社は千鳥ヶ淵緑道から徒歩数分と距離が近いが、こちらも桜の名所として知られている。靖国神社での計測結果では、ソフトバンクが他社を大きく上回り、iPhoneの下り速度が45.4Mbps、Androidの下り速度が38.6Mbpsと、いずれも約40Mbpsの高速を記録した。2位はKDDIで、iPhoneの下り速度が26.1Mbps、Androidの下り速度が13.2Mbps。ドコモは3位となり、iPhoneの下り速度が12.4Mbps、Androidの下り速度が11.3Mbps。

次に計測を行った井の頭恩賜公園は、今回の調査で唯一、23区外となるスポットだ。結果は、iPhoneとAndroidで下り速度の順位が異なった。iPhoneでは、ドコモが首位となり下り23.4Mbps、2位がソフトバンクで16.5Mbps、3位がKDDIで14.9Mbpsとなった。また、Androidでは、KDDIが首位で下り18.8Mbps、2位がドコモで18.2Mbps、ソフトバンクは3位となり15.3Mbpsだった。

武蔵野市にある井の頭恩賜公園まで足をのばし、計測を実施

両岸に桜の木が立ち並ぶ目黒川にて計測

8カ所目の計測場所となる目黒川では、川沿いの両岸に桜の木が立ち並んでおり、つぼみが赤く色づいているのが目視でも確認できた。スピードテストの結果は、iPhoneの下り速度では、首位がKDDIで16.1Mbps、2位のソフトバンクは15.8Mbpsとほぼ互角だった。3位のドコモは4.4Mbpsと振るわなかった。一方、Androidではソフトバンクが圧倒し、下り速度37.9Mbpsで首位。KDDIは2位で13.7Mbps、ドコモは3位で4.8Mbpsとなった。

原宿駅からすぐの代々木公園でも計測を行った。結果は、iPhoneの下り速度では、ドコモが首位となり40.1Mbps、2位はソフトバンクで20.4Mbps、3位はKDDIで4.5Mbps。Androidの下り速度では、ソフトバンクが首位で21.1Mbps、2位はドコモで9.6Mbps、3位のKDDIは5.3Mbpsとなった。今回の調査でiPhoneとAndroidは、同一地点でほぼ同時刻に計測を行っているが、代々木公園のドコモのiPhoneとAndroidでは結果が大きく異なった。原因としては、ドコモのAndroid端末がiPhoneには対応していない1.5GHz帯のLTEを掴んでいたなど、異なる周波数帯のネットワークに接続していた可能性が考えられる。

都心に戻り、代々木公園にて計測を行った

最後に新宿御苑に向かい、計測を実施した

今回の調査で最後に計測を行ったのは新宿御苑だ。苑内では、ソメイヨシノの開花はまだだが、寒桜が一足早く満開を迎えており、多くの人が足を止めて写真を撮っていた。計測結果は、ソフトバンクが首位となり、iPhoneの下り速度が20.1Mbps、Androidの下り速度が39.1Mbps。また、2位、3位の順位はiPhoneとAndroidで異なる結果となった。iPhoneは2位がドコモで12.5Mbps、3位がKDDIで10.9Mbps。Androidの2位はKDDIで21.8Mbps、3位はドコモで7.8Mbpsだった。

都内10カ所の速度計測の結果をまとめると、iPhoneの平均速度は、ドコモが下り16.7Mbps/上り3.4Mbps、KDDIが下り18.1Mbps /上り7.3Mbps、ソフトバンクが下り24.8Mbps/上り13.4Mbps。また、Androidの平均速度は、ドコモが下り10.9Mbps /上り4.1Mbps、KDDIが下り18.5Mbps/上り8.7Mbps、ソフトバンクが下り27.0Mbps/上り10.0Mbpsだった。先述の通り、平均下り速度の順位はiPhone、Android同様で、ソフトバンクが首位、KDDIが2位、ドコモが3位となった。

都内10カ所でソフトバンクが最速となった理由を考える

ここからは今回の都内10カ所で実施したスピードテストの結果について考察していきたい。まず、平均下り速度で最速となったのは、iPhone、Androidともにソフトバンクで、iPhoneが下り24.8Mbps、Androidが下り27.0Mbpsとなった。また、各所の実測値が10Mbps以上となった地点数を見てみると、ソフトバンクはiPhone、Androidともに全地点で10Mbps以上となっており、安定して高速で通信できることが確認できた。

さらに、ソフトバンクは平均上り速度でも、iPhoneが13.4Mbps、Androidが10.0Mbpsでともに首位となった。今回、ソフトバンクの上り速度が他社よりも速いのはとくに顕著で、iPhoneでは10カ所中10カ所、Androidでは10カ所中6カ所で首位となっていた。

ソフトバンクが下り・上り速度ともに首位になった理由としては、ソフトバンクの2.1GHz帯とイー・モバイルの1.7GHz帯で提供してきた「ダブルLTE」をそれぞれ下り最大75Mbpsに高速化した「倍速ダブルLTE」を昨年秋より提供したことに加え、Android向けにAXGP/FDD-LTEの両方の通信方式に対応した「Hybrid 4G LTE」が提供開始されたことの影響が考えられる。とりわけ、上野恩賜公園でiPhoneが下り59.6Mbpsを記録したことは、倍速ダブルLTEの効果の現れと見ることができるだろう。

ソフトバンクのiPhone、Androidであれば、都内のお花見スポットでも快適にインターネットを利用でき、上り速度も速いため、お花見で撮影した写真や動画のアップロードもすばやく行えると思われる。

KDDIは、平均下り速度の順位ではiPhone、Androidともに2位となったが、隅田公園をはじめとする数カ所では下り速度が首位となることもあった。また、実測値が10Mbps以上となった地点数では、iPhoneが10カ所中9カ所、Androidが8カ所となり、ソフトバンクには負けるものの、多くの場所で安定して高速で通信できたと言える。

KDDIのアピールポイントは、つながりやすいとされる800MHz帯のプラチナバンドのLTEであり、2014年3月末時点で対応エリアが実人口カバー率99%という点だが、今後はエリアの広さだけではなく、実測速度を含めたネットワークの総合的な快適さを改善していく余地がありそうだ。

また、ドコモは平均下り速度の順位ではiPhone、Androidともに最下位となった。また、実測値が10Mbps以上となった地点数でも、iPhoneが10カ所中6カ所、Androidが3カ所となり、安定して高速で通信できるとは言えない結果だった。

上り速度についても、他社と比べると物足りない結果となり、お花見スポットで動画をアップロードするのには少し不安が残る。iPhoneの下り速度では、井の頭恩賜公園と代々木公園で首位となっており、必ずしも完敗とは言えないが、都心部のネットワークの整備はまだまだ不十分という印象で、さらなる努力が望まれるだろう。

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都内のお花見スポット10カ所で実施した各社iPhone、Androidのスピードテストの結果を紹介してきた。結果はソフトバンクがiPhone、Androidともに首位となり、都内の公園をはじめとする様々なスポットでネットワークの強さを見せた。これからスマートフォンを購入しようと考えている人はもちろん、お花見でスマートフォンを使った余興を予定している人なども、ぜひご参考にしていただきたい。