ちょっと専門的な説明になるが、ギターの音を「ハイ」「ミドル」「ロー」と大きく3つの周波数帯に分けて考えてみよう。エレキギター用のアンプはバンドなどで使用されることを想定しているため、わざとハイとローを控えめにし、ミドルをブースト(増幅)している。つまり、ドラム、ベースやボーカルなどが一緒に鳴るバンドの中の1パートであることを前提に調整されているわけだ。

しかし、アコースティックギターはエレキギターと違い、ソロで演奏されることも多い。その場合、ミドルを増幅してハイとローをカットしてしまっては、せっかくのアコースティックギターの響きの良さが失われてしまう。そこで「AC-40」は、ハイとローをカットすることなく、すべての周波数帯の音をまんべんなく出すフラットな設計にすることで、アコースティックギターの魅力を100%伝えられるよう設計されているのである。

しかも、AC-40は高性能ステレオ・アンプとツイン・スピーカーを搭載することで、ナチュラルで広がりのある音を再現。さらに膨大なノウハウを結集した高品位エフェクトを内蔵することで、響きや奥行き感を生むことに成功している。すなわち、これでもか! というぐらいにアコースティック・ギターならではの暖かみのあるサウンドを100%引き出してくれるアンプというわけだ。

……そんな専門的な話はさておき、「AC-40」を最初に見て思ったのは「小さい!」だった。いや、普通のアンプの大きさを知らないので、果たしてこいつが特別小さいのかはわからないのだが、個人的にはもっとデカくて重いのを想像していたのだ。

それはモデルさんたちも同じだったようで、「小さい!」「軽い!」「カワイイ!」と大はしゃぎ。……"小さい"と"軽い"はわかるけど、カワイイか……? どうにも最近の女子の感覚はオジサンにはよくわからんのである。

そんなこんなで、聴き比べに入る前にアンプを持っての撮影会がスタートしてしまった。真っ黒でずしりとしたアンプも、モデルさんが持てばこの通り。まるでランチボックスを持ってピクニックにやってきたかのようではないか。

スリムなモデルさんでも楽に持ててしまうこの軽さ!ギター以外にマイクや携帯音楽プレーヤーを接続可能だから、これ1台でミニ・ライブも可能だ

気分はまるでピクニック!?ドサクサに紛れて「オジサンが考えた精一杯カワイイポーズ」で便乗する筆者

……それはちょっと言い過ぎたけど、でも見た目に反してかなり軽快だ。これなら持ち運びも楽ちんである。ちなみにこのAC-40、ギター以外にマイクや携帯音楽プレーヤーも同時に接続できるので、これ1台でミニ・ライブも可能だ。軽さといい、持ち運びする人のことを良く考えて作られた製品と言えるだろう。 

さて、ひと通り記念撮影を楽しんだところで、いよいよ本題に入ろう。

まずは今回の企画のおさらい

ローランドのアコギ専用アンプ「AC-40」と、普通のエレキギター用アンプのそれぞれにアコースティックギターをつないで実際に演奏してみる。「AC-40」の触れ込みが本当なら、エレキギター用のアンプよりも「AC-40」の音の方がアコースティックギターの魅力を引き出して良い音になっているはず。

そこで僕とモデルさんは、どちらのアンプを使っているかは知らないまま、音だけを聴いて「AC-40」の音を当てるというわけだ。

世間では「偽装」だとか「誤表示」だとかが話題になっているが、当企画は当然のことながらガチである。

それでは早速行ってみよう。

「生のギターに近い!と思うのはどっちですか?」

「本当に聞き分けられるのかな……」不安げな表情を浮かべるモデルさんたち。うん、そうだよね。