また、コントローラーとなるスマホ向けのアプリは「ココロボ~ド」という名称で、コミュニケーション機能を強化したものに一新。家電を操作する以外にも、連絡ボードのような役割を持つアプリ上で、登録した家族間のメッセージのやり取りや、在室している「ココロボ」自体が部屋の温度・湿度、運転状況、掃除レポートなどを発信したり、家族からのメッセージに返信したりできる。
さらに、クラウドによる音声サービスに対応。これは、外部の生活情報サービスなどと連携し、本体に話しかけると、「ココロボ」本体で音声認識し、クラウド上の情報サービスのデータから適切な情報を音声で返答するという機能だ。今回発売された新機種では、気象情報サービスのウェザーニューズのコンテンツと連携。「ココロボ」に天気を訊ねると、クラウド上で取得したデータをもとに、音声で返事をする。
一方、本来の掃除機としての清掃能力での進化のポイントは、「スマートお掃除機能」を搭載したこと。超音波センサーが部屋の広さを検知して、運転時間をコントロールするほか、吸引口の下にある「ゴミセンサー」でゴミの量だけでなく、床の種類を検知。フローリングや絨毯、畳といった床の種類に合わせて、吸引力を最適に制御し、清掃能力と省エネ性能を高めている。また、電気料金の安い夜間に充電するよう「夜間充電モード」が追加されている。
総評 - 目の付けどころが、シャープだね?
以上、「RX-V200」の主なポイントをまとめてみたが、一言でいうと、これまでバラバラにアップデートで追加してきた機能を集約し、世の中の技術のトレンドを取り入れ、使い勝手をよくしたという印象。また、クラウド連携は、東京急行電鉄と共同で東京・品川区にある賃貸マンションで同様の実証実験を2013年4月から行っており、それが商用モデルに展開されたという形だ。
本製品は「ココロボ」の中でもフラッグシップモデルということで、かなり実験的な機種。「部屋を掃除する」という掃除機としての本来の機能だけを考えると、正直、不必要な機能が多い。だが、シャープは2012年の発売当初から「ロボット掃除機」ではなく、「ロボット家電」と称してきた。各方面から「掃除機がしゃべる必要があるの?」と揶揄されたものだが、本製品の登場で、ようやく同社が目指していた方向性が分かりやすく製品化された感じだ。
【左】「ココロボ」の音声をカスタマイズできるPC用ソフト「COCOROBO Voice Maker」。プリセットされている音声を任意の音声ファイルやその場で録音した声に差し替え設定ができる 【右】本体内部にはUSBポートを備え、COCOROBO Voice Makerで変更した音声のデータなどを本体にインプットできる |
ちなみに、市場想定価格が13万円前後というのは、競合製品に比べて群を抜いて高価だ。しかし、その価格差は清掃性能ではなく、コミュニケーション機能などそれ以外のエンターテインメントロボットとしての差分と捉えるのが適切だろう。さらに、情報の提供をサポートするロボットとして、少子高齢化に向かうこれからの社会に対して、"ちょっと先"をいく将来を見据えた製品だと感じた。