もちろん、性能面も大きく向上した。ローパスフィルターレスの撮像素子を採用し、解像感が格段にアップ。ローパスフィルターレスならではの高い解像力と有効2,435万画素の力技で、光量さえ十分なら、まさに目が覚めるような高画質を叩き出す。その威力は、半切や全紙といった大判プリントでもっとも発揮されるに違いない。では、撮った写真をブログやSNSでしか使わないなら、K-3を使う必要はないのだろうか。答えは「ノー」だ。なぜなら、K-3は撮影に伴うストレスが格段に小さく、被写体以外に余計な注意や労力を割かなくていいからだ。これも見落とせないバリューである。

1/100秒 f8.0 ISO3200 55mm レンズ:HD PENTAX-DA 55-300mmF4-5.8ED WR(原寸大画像を見る)

1/100秒 f4.0 ISO400 40mm レンズ:シグマ 17-50mm F2.8 EX DC HSM(原寸大画像を見る)

1/8秒 f4.0 ISO400 50mm レンズ:シグマ 17-50mm F2.8 EX DC HSM(原寸大画像を見る)

1/80秒 f4.0 ISO400 40mm レンズ:HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR(原寸大画像を見る)

ショットごとに測光に気を使い、露出を補正し、大雑把なフォーカスポイントでピントロックして構図を調整、手ぶれを防ぐため息を殺してシャッターを切った結果、あれ?これピント合ってる?……そんなことが初代K-5では頻繁にあった。

だが、K-3では映像エンジンが「PRIME III」になり、新開発の8.6万画素RGB測光センサーが搭載されたことで、測光性能が格段に安定したと感じる。K-5では暗所や黒い被写体で露出がオーバー気味になるケースも多かったが、K-3では安定して適正値が出る印象だ。外付けストロボ装着時のP-TTLもきちんと調光しており、きちんと適正露出を得られる(こんなことは当然なのだが、初代K-5はP-TTLに欠陥があり、外付けストロボが事実上マニュアルでしか使えなかった)。

1/500秒 f5.6 ISO100 135mm レンズ:smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR(原寸大画像を見る)

1/800秒 f6.3 ISO100 135mm レンズ:smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR(原寸大画像を見る)

1/4,000秒 f8.0 ISO1600 88mm レンズ:smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR(原寸大画像を見る)

1/250秒 f8.0 ISO400 100mm レンズ:smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR(原寸大画像を見る)

1/1,250秒 f8.0 ISO400 53mm レンズ:smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR(原寸大画像を見る)

1/50秒 f11 ISO200 15mm レンズ:HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited(原寸大画像を見る)

測距点がK-5の11点から27点になり、構図決めが容易に行えるようになったのも大きい。ピントロック後に構図を決め直す動作が格段に減るので、シャッターチャンスに対応しやすくなり、疲労も軽減される。ただ、他メーカーの同等クラスの製品と比較してしまうと、K-3クラスであればもう少し測距点を増やしてほしいところだ。

それでもAFシステムが刷新されたことでフォーカスが速くなり、AFが迷うケースは圧倒的に少なくなった。27点の測距点のうち25点はクロスセンサー、さらに中心3点はF2.8光束対応で大口径レンズでのシビアなピント合わせも可能なうえ、「K-5 II」同様に-3EVまでの低輝度対応AFを搭載している。直射日光の届かない室内や夕刻においては、日中晴天下に比肩するピントのキレが得られないことがある(これは他社製カメラでも同様だ)ものの、20インチモニターに全体表示する程度ではまったく問題ないレベルで、2,453万画素の底力を実感せずにはいられない。

1/640秒 f8.0 ISO1600 300mm レンズ:HD PENTAX-DA 55-300mmF4-5.8ED WR(原寸大画像を見る)

1/1,600秒 f8.0 ISO800 55mm レンズ:HD PENTAX-DA 55-300mmF4-5.8ED WR(原寸大画像を見る)

1/1,000秒 f8.0 ISO800 300mm レンズ:HD PENTAX-DA 55-300mmF4-5.8ED WR(原寸大画像を見る)

1/2,000秒 f8.0 ISO800 210mm レンズ:HD PENTAX-DA 55-300mmF4-5.8ED WR(原寸大画像を見る)

1/125秒 f7.1 ISO200 300mm レンズ:HD PENTAX-DA 55-300mmF4-5.8ED WR(原寸大画像を見る)

1/80秒 f8.0 ISO200 40mm レンズ:HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR(原寸大画像を見る)

また、K-3は測距点モードとしてゾーンセレクトやセレクトエリア拡大といった機能を持ち、AF動作特性のカスタマイズもおこなえるので、動体への追従可能性も高くなっている。流し撮りもたやすい。このあたりは、使い込んで設定を詰めていくことで、さらに強力な武器となることだろう。加えて、ミラーショックが激減したことも特筆したいポイントだ。これは新開発のミラーバウンド抑制機構の搭載による効果で、K-5で多かったミラーショックによる手ぶれの影響が確実に減ったことを実際に感じ取ることができる。

K-3では連写能力も向上。最大8.3コマ/秒の高速連写が可能