あなどれない「Clear Audio+ for Music」

それでは、Fit 13Aの液晶の質をチェックしていこう。本製品の液晶はおなじみの高画質液晶「トリルミナス for mobile」。さらにこの液晶は液晶表面と保護ガラスの間に樹脂を充填してタッチやスタイラスペン操作時の"視差"を少なくする「オプティコントラストパネル」でもあるなど、最近のVAIOではお馴染みの要素を全て盛り込んだIPS液晶パネルだ。

IPSパネルなので視野角は十分に広い。反射も少なく非常に観やすい画面といえる

今回もX-Rite社製のキャリブレーター「i1 Display Pro」を使い、液晶の色域や味付けを調べてみた。

Fit 13Aの液晶のガンマカーブ。赤と緑を少し抑えると理想的な出力になる、という意味になる

iccプロファイルから作成した色域。白い三角形の領域はsRGBの領域を示している

まずガンマカーブから読み取れるのは、黄色みがやや強いものの、各カーブは上下に大きくうねることなく直線性もよい。つまりグラデーションの表現も良好という意味だ。一方色域からは、若干青~緑の表現力に制限はあるものの、sRGBに近い表現力を持っている。RAW現像等で真剣に色を見たい人は外部ディスプレイを使った方が無難だが、アマチュアの写真加工程度なら十分使えそうだ。

ちなみに「VAIO設定」では、文字表示に適した「テキスト」、写真観賞に適した「ビビッド」等の画質補正設定があるが、この機能をオフにしても他の設定にしても、ほぼ同じガンマカーブ等の結果が得られたことを記しておく。

スピーカーについては外観チェックの部分で少し触れているが、ここでは音質についても触れておきたい。このFit 13Aに搭載されている機能は「VAIO Tap11」と同じ、動画や音楽の鑑賞を強く意識したエンターテインメント製の強いものだ。同じ世代のVAIO ProやDuoよりも搭載機能数は多い。同社のXperiaシリーズなどにも搭載されている音楽鑑賞向けの「Clear Audio+ for Music」モードが本製品のデフォルトの設定だ。

このほかに動画のセリフを引き立たせる設定もあるが、それらはVAIOの設定から起動できる「VAIO オーディオユーティリティー」でカスタマイズできる。

実際にこの機能を全オフにした状態と、Clear Audio+有効状態で、音楽や動画を観賞し比べてみたが、オフの状態ではびっくりするほど痩せた音になる。ピュアオーディオの観点から言うと忠実な音ではないのだろうが、聴きやすいという意味で"良い音"が楽しめるのだ。

標準の音質は音楽鑑賞向けだが「VAIO オーディオユーティリティー」で「ClearAudio+ for Video」を選択すると、音質を保ちつつセリフを聴き取りやすいよう自動的に調整してくれる

最後にバッテリ駆動時間をチェックしておこう。液晶輝度50%固定、キーボードバックライトと輝度センサーオフ、Wi-Fi有効の状態で「bbench」のWeb巡回とキーストロークを有効にした状態で計測した。

■ バッテリ駆動時間
VAIO Fit 13A 6時間02分

公称駆動時間(10~12時間)に比べると大分低くなっているが、テスト中もファンが回る音が聞こえているため、こうしたモーター駆動などで電力が使われていると推測できる。常時起動しっぱなしのこのテストで6時間なら、十分モバイルPCとして活用できるのではなかろうか。