2012年末頃から続々登場している、タブレットとノート形態を自由に行き来でき、かつWindows 8が動作する"コンバーチブルノート"対決が面白い。話題の省電力SoC「Bay Trail-T」を使ったものから、最新Core iを搭載したものまで多種多様な製品が出てきているが、その中でもひときわ目を惹くのが、"3VIEW STYLE"なる3段階の変形機構を備えるソニーの「VAIO Fit」シリーズだ。

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今回同シリーズの中でも13.3インチの液晶を備えた最軽量機種「VAIO Fit 13A(以降Fit 13Aと略)」、Core i7にPCIe SSDを搭載した"最速"のVAIOオーナーメードモデル(試用機)をテストする機会に恵まれた。発売予定は11月30日。とうとう一週間後に迫ったFit 13Aの使い勝手や性能を徹底的にチェックしてみたい。

独特の液晶変形機構を備える新コンバーチブルノート「VAIO Fit 13A」。今回テストするのはオーナーメードモデルである「SVF13N1A1J」だ。同社直販サイトによる最小構成価格は129,800円

■試用機の主な仕様   [製品名] VAIO Fit 13A(SVF13N1A1J)   [CPU] Intel Core i7-4500U(1.80GHz)   [メモリ] 8GB   [ストレージ] 256GB PCIe SSD   [光学ドライブ] なし   [グラフィックス] Intel HD Graphics 4600(CPU内蔵)   [ディスプレイ]&nbsp13.3型ワイド(1,920×1,080ドット)   [OS] Windows 8 Pro 64bit   [直販価格] 上記構成で179,800円(Office非搭載時)  

Core i7+PCIe SSDの豪華仕様!

先にも触れた通り、今回レビューするのは同社直販サイトで提供されるVAIOオーナーメードモデル。Fit 13Aの店頭販売モデルと何が違うのか、予め明確にしておきたい。

VAIO Fit 13A オーナーメードモデル 店頭モデル
■型番 SVF13N1A1J SVF13N19DJS
■CPU Core i7-4500U Core i5-4200U
Core i5-4200U
Core i3-4005U
■ディスプレイ 13.3インチ(1,920×1080ドット)
■タッチパネル 搭載 搭載
非搭載
■メモリ 8GB 4GB
4GB
■ストレージ PCIe SSD 512GB SSD 128GB
PCIe SSD 256GB
SSD 128GB
■OS Windows 8 Pro 64bit Windows 8 64bit
Windows 8 64bit

VAIOオーナーメードモデルと店頭販売モデルとの主な違いを上記に示した。テスト機の構成は※付きの太字で示している。これ以外の部分、すなわちIEEE802.11a/b/g/n対応の無線LANやUSB 3.0の数は店頭販売モデルと共通だ。

ちなみに、CTOではCore i3も選択できるが、その場合PCIe SSDは選択できなくなる。PCIe SSD接続というストレージ性能が重要なら、Core i5の選択が最低条件なのだ。

今回レビューするFit 13Aの情報を「HWiNFO64」でチェック。CPUは「Core i7-4500U」、SSDはSamsung製のPCIe接続のものが使われていた


液晶が折れる? 薄型軽量に仕込んだ驚きの変形機構!

それでは実際にFit 13Aの外側からチェックしてみよう。冒頭でも触れた通り、Fit 13Aは"3VIEW STYLE"と呼ばれる3段階の変形機構を備える。すなわち通常のノートPCとしての「キーボードモード」、タブレットPCとしての「タブレットモード」、そして動画観賞やプレゼン時に便利な「ビューモード」の3通りのスタイルを自由に行き来できるのだ。

文章入力の多い時は普通のノートPC形態である「キーボードモード」が最適

「タブレットモード」へ移行すれば、ちょっと重いがタッチ操作の使えるフルHDタブレットとして活用できる

タブレットモードとキーボードモードの中間が「ビューモード」。自立するので動画観賞や、PowerPointを使った小規模なプレゼンなどで活躍しそうだ

キーボード上部、ヒンジ中央部に変形機構のロックがあるので、変形させる時はスライドを「Release」側に動かす

しかし上のような3形態を行き来できる製品は特に珍しい製品ではない。Fit 13Aの独自性は"液晶を折るように変形させる"独特の機構にあるのだ。液晶をヒンジの部分で折り返すタイプのコンバーチブルノートはレノボやパナソニックなどから発売済だが、これらは液晶のヒンジを中心に回転させるため、変形時は本体を持ち上げて作業する必要があり、ひと手間かかり落下の心配もあった。

しかしFit 13Aでは、この独特の変形機構の採用で本体を置いたまま、どの形態にも自在に変形できる。さらにそれを最厚部17.9mm、重さ約1.31kgの薄型軽量ノートで完全変形ギミックを搭載している、というのがFit 13Aの凄さなのだ。

ノートPCからタブレット形状への変形機構はあらかた出尽くしたように思っていたが、その認識はソニーの前では大甘だったようだ。

それではFit 13A独特の変形機構をチェックしてみよう。まずは普通にキーボードモードから、液晶を開く

そして液晶上部を持ち、向こう側へ水平に"折るように"動かすと、液晶の中盤部分を支点に折れ曲がる

そのまま向こう側に回転させていくと……

180度回った時点で"ビューモード"に変形。このまま液晶を閉じればタブレットモードへ完全変形するのだ。戻るにはこの逆の操作を行なう

液晶のヒンジ近くにはマグネットが仕込まれており、ロックが解除されていてもかなりの力で本体に吸着する。そのため液晶の開け閉めなど、普通に力をかける分にはほとんど動く気配を見せない。液晶が裏に折れるヒンジはラバー素材を使った特殊な構造になっているなど、薄さを維持しつつ回転機構を実装するために相当な努力が払われたことは想像に難くない。

キーボードモードから液晶を裏返す時には、マグネットの吸着力が強いせいもあって慣れと思い切りが必要だ。液晶の上の方を持ち、ちょっとしならせる位の気持ちで後ろに倒すと"ペキッ"という感じで折れ曲がるが、これを体得するまでは結構恐い。Fit 13Aの自重を活かせば何てことのない変形操作なのだが、マグネットが外れる時の衝撃が結構恐い。もう少しスムースに変形させてくれてもいいような気がした。

ヒンジというと、軸受けの部分に突起がある形状を思い浮かべるが、Fit 13Aのヒンジは極めてコンパクトで、この中にディスプレイの信号線が入っているとは思えぬ薄さ