富士通の「ESPRIMO WH77/M」は2013年秋冬モデルで新たに投入された、ユニークなスタイルを持つデスクトップPCだ。Windows 8の登場以降、さまざまな設計のタッチパネル搭載PCが出てきた。とりわけ、タブレット形状に変形するモバイルPCが注目を集めているが、一体型デスクトップPCにおいても個性的な製品が続々と登場している。

その多くは20~23型クラスの画面を持ち、スタンドから分離して大型タブレットになってみたり、デュアルヒンジのスタンドにより画面が水平に寝たり……、特撮ヒーローよろしく、変身合戦を繰り広げている。そんな中、現れたのが今回レビューする「ESPRIMO WH77/M」だ。

まずはお約束ということで、ハードウェアの仕様と価格について。CPUはHaswell世代のCore i7、タッチパネル付きでフルHDの21.5型IPS液晶、BDドライブを搭載するなど、ハイスペック寄りの構成だ。実勢価格も220,000円前後と安い部類ではないが、同社のWeb直販サイト「WEB MART」では10%オフのクーポンを適用して、202,320円で購入することができる(10月30日14時まで)。また同サイトでは、スペックを変更してオーダーできるカスタムメイドモデル「ESPRIMO WW1/M」も用意され、最小構成価格は148,580円となっている(15%オフクーポン適用時、10月30日14時まで)。

もっとも傾斜させた状態。液晶は視野角の広いIPS方式を採用している

■[製品名] ESPRIMO WH77/M テスト機の主な仕様 [CPU] Intel Core i7-4702MQ (2.20GHz) メモリ] PC3L-12800 8GB (4GB×2) [グラフィックス] Intel HD Graphics 4600 (CPU内蔵) [ディスプレイ] 21.5型ワイド液晶 (1,920×1,080ドット、タッチパネル) [ストレージ] 2TB SATA HDD [光学ドライブ] BDXL対応BDドライブ [サイズ] W547×D224×H363mm(最小傾斜時)、W547×D345×H203mm(最大傾斜時) [重量] 約8.7kg [OS] Windows 8.1 64bit [店頭実勢価格] 220,000円前後

秘密のヒンジで子どもでも楽々変形

さて、「ESPRIMO WH77/M」の何がユニークかといえば、その変形機構。前述のように派手なギミックでオラオラとドヤ顔を押し出してくる製品が多い中、大人の優しさを見せつつ、さらっと軽やかに姿を変えてみせる。百聞は一見にしかずで、まずは写真と動画でご覧いただきたい。

画面を立てた最小傾斜時のチルト角は9度、奥行きは224mm。画面を寝せた最大傾斜時のチルト角は62度、奥行きは345mm

【動画】関係者向けの内覧会における変形スタイル実演デモ(16秒、音声なし)

動画では男性がデモを行っていたが、非力な女性や小学生くらいの子どもでも大半の人が楽々と変形できる。しかも、正面に座ったまま。20型オーバーでタッチパネル搭載の一体型PCとなると、変形時やタッチ操作時の安定を図るため、どうしてもスタンドのヒンジ部が固く設計されがちだ。製品によっては息を止めて「フンッ!」と力を入れなければ動かせないのだが、WH77/Mは液晶下部のベゼルを持ってわずかに浮かせば、スッと手前に引き出したり、最小傾斜状態に戻すことができる。

その軽やかな変形の秘密は、こだわりを持って開発された独特のヒンジにある。ディスプレイ部分の重量は実際には4.7kgあるのだが、強力なバネを持つこのヒンジにより、1~2.8kgまで体感重量を軽減するという。

スムーズな変形を可能とする特殊なヒンジ

また、画面を傾斜させてタッチ操作スタイルにした際に、ディスプレイの上部が本体の後ろにハミ出さないこともメリットと言えるだろう。奥行きは最大でも345mm。壁にできるだけ寄せて設置できるので、スペースが限られた日本の住宅事情にマッチする。ワイヤレスキーボードを本体の正面に置いたまま変形できる点も気が利いている。

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