強化されたデバイスサポート

最後にデバイスとの連動に関する説明が行われた。Windows 8.1はHaswell(ハズウェル)やBay Trail(ベイトレイル)、Snapdragon(スナップドラゴン)800、Tegra(テグラ)4といったCPU/SoCを標準サポートすることでタブレット型コンピューターなど、より小さいフォームファクタでの利用が可能なOSであると担当者は延べ、InstantGo(インスタントゴー:旧Connected Standby)への対応強化をアピールした。

Build 2013のキーノートやセッションで紹介されたように、Windows 8.1は3DプリンターやNFC(近距離無線通信)といったデバイスを標準サポートするが、さらに指紋認証デバイスを標準サポートすることでWindowsストアアプリからも利用可能になるという。さらにBluetoothは新たなプロファイルとして、RFCOMM(Radio Frequency Communication:RS-232Cシリアルポートの転送機能をエミュレーションする)などをサポート。その結果、シリアル/パラレル系プロトコルを利用するBluetoothデバイスをWindowsストアアプリから利用可能になるという。

また、Miracast(ミラキャスト)アダプターを用いたデモンストレーションも行われた。通常のテレビに某社製アダプターを接続し、Windows 8.1のスタート画面などを映し出しというものだが、少なくとも会場では描画遅延などは確認できず、スムーズな動作を実現。さらに出席者から実際に試してみたが動作しなかったという質問も上がったが、担当者いわく、現時点ではデバイスドライバーのバージョンをはじめとする相性問題が残っていると説明し、今後もクオリティを高めていくと述べるにとどまった。

そもそもMiracastは無線LAN製品の普及促進を目的とした業界団体であるWi-Fi Alliance(ワイファイアライアンス)が定めた規格ながらも、IntelのWiDi(インテル ワイヤレスディスプレイ)やAppleのAirPlayと競合する存在である。GoogleもAndroid 4.2でMiracastを公式サポートし、今後普及するデバイスであることは確かだが、いまだ新規格に数えられる過渡期のため、ユーザーはMiracast対応デバイスが出そろった時点で試すのが確実だろう。

この他にもWi-Fi Directワイヤレス印刷のデモンストレーション動画や、映像配信時のコピー防止規格「DTCP-IP」を拡張した「DTCP+」のデモンストレーションも行われた。さらに担当者はWindows 8.1における変更点として、Windowsストアアプリサイズの制限を2ギガバイトから8ギガバイトに緩和し、言語ごとにリソースをダウンロード可能にする仕様変更を紹介。

時間の都合でデモンストレーションは行われなかったが、音声合成やPDFレンダリングエンジンの内包化や、他のWindowsストアアプリから「People」や「カレンダー」へアクセスできるAPI(Application Programming Interface:簡潔にプログラムを記述するためのインターフェース)を用意することを明らかにした。同APIはあくまでも特例らしく、Windowsストアアプリ同士が相互的にアクセス可能にするものではないという。

いずれにしてもハードウェア関連は肝心のデバイスがリリースされ、安価で入手可能にならないと恩恵を受けられないものばかりだが、少なくとも小数点第一位が繰り上がった程度の変更点ではない、とアピールする日本マイクロソフトの熱意は感じられた。まもなく登場するWindows 8.1が今から楽しみになる内容ばかりである。前述のように一切の撮影が禁止されていたため、詳しい機能はGA版リリース後に何らかの形でご報告したい。なお、現在RTM版を利用中のユーザーは、Windows Updateで今回の変更内容が適用されるそうだ。

阿久津良和(Cactus