NTTドコモは10月10日、2013年冬春モデルの新製品発表会を開催し、スマートフォン/タブレットなどの計16機種を公開。新製品に加えて、サービス面のアップデートについても説明した。今回同社は、docomo IDをベースとして各種のドコモサービスを拡充する考え。発表会において同社の加藤薫社長は、サービス面のコンセプトとして「お客様のスマートライフのパートナー」を挙げた。

発表会に登壇したNTTドコモの加藤薫社長

この「スマートライフのパートナー」は、ドコモの製品やサービスによって、ユーザーの「新たなライフスタイル」を実現するための同社の取り組みとして、2015年までの中期ビジョンに掲げられている。加藤社長は、このコンセプトについて、「お客様ご自身が家族や社会全体に日々幸せを感じていただくこと」と説明。この幸せはさまざまなものがあるが、「いつでもどこでも大切な人と繋がっていたい」「毎日ちょっと楽しくなるコンテンツが欲しい」「健康な日々を送りたい」という例を挙げ、「そうしたものに応えていきたい」というのが、加藤社長の目指す「スマートライフのパートナー」だ。

研究開発、ネットワーク、ドコモショップといったドコモを支える基盤、そしてサービスやスマートフォンといった製品を通じて、ドコモ全体で「一人一人の幸せを実現する、そんなパートナーでありたい」という目標で取り組んでいると加藤社長はアピール。今回の新サービスも、こうした目標を実現するためのものとしている。

docomo IDをキャリアフリーで提供

このコンセプトの実現に向け、「新たなチャレンジ」として加藤社長が紹介するのが認証システム「docomo ID」の本格展開だ。

同社では、11月13日からdocomo IDの機能を順次拡大し、最終的には他キャリアのユーザーに対しても開放することで、ドコモユーザー以外でも各種サービスが利用できるようにする。

認証基盤「docomo ID」ベースでサービスを提供。今後は他キャリアのユーザーにも開放する

各種のドコモサービスがdocomo IDで利用可能に

この取り組みのねらいは、統一した認証方法として「docomo ID」を利用することで、ユーザーに4つの付加価値を提供するというもの。付加価値のひとつ目は、ドコモユーザーにとっても、3GやLTE回線を使っていなくても、docomo IDを使った認証が可能になる「ネットワークフリー」、2つ目はスマートフォン、タブレット、PCといった各種端末で同じサービスを利用できる「デバイスフリー」、3つ目はiOS、AndroidといったOSの違いがあってもサービスを利用できる「OSフリー」、4つ目はドコモユーザー以外でも利用できるようになる「キャリアフリー」だ。

docomo IDでさらに便利になる新サービスを発表

続いて、docomo IDの拡充に関連する新サービスおよび既存サービスの拡充について説明があった。いずれも、まずはドコモユーザー向けに提供するが、docomo IDに対応することで、順次他社ユーザーにもサービスを開放していく予定だ。

・ドコモメールがいよいよスタート

docomo ID対応サービスとして、「ドコモメール」を10月24日から提供開始する。従来のspモードメールアプリからUIを刷新し、ユーザー調査などからより使いやすい画面構成にする。これにより、メールの作成、閲覧、デコメ入力などがさらに簡単になるという。このほか、アプリの動作速度も改善するという。保存容量は1GB。提供開始は10月24日からとなるが、docomo IDへの対応は11月以降の予定。

docomo IDに対応することで、マルチデバイスに対応し、ドコモの回線契約がない2台目以降のスマートフォンやPCからドコモメールが利用できるようになる。

ドコモメールをクラウド化して提供する

マルチデバイス利用も可能となる

アプリは操作性が向上し、動作速度も改善させた

ファッション通販サイト「d fashion」

「dマーケット」を拡充させるための取り組みとして、新たに3つのストアが追加される。まず10月30日より提供されるのが、ファッション通販の「d fashion」だ。ファッション通販サービスのマガシークと共同で運営するサービスで、セレクトショップを中心に、当初450ブランド・約4万点の洋服やアクセサリー、ファッション小物をそろえる。

ファッション通販の「d fashion」

豊富なブランドの製品を用意した

子どもが使ってあんしんの知育サービス「dキッズ」

dキッズは、子育て家庭向けの知育サービスで、11月29日から月額390円で提供する。サービス開始時点では、知育コンテンツとして「とびだす☆おえかき」(タカラトミーエンタメディア)、「しまじろうパーク」(ベネッセコーポレーション)、「ぷれNEOくいずかん」(小学館)、「森のえほん館」(キッズスター)、「おとあそび」(スマートエデュケーション)の5コンテンツを用意した。

知育サービスのdキッズ

サービス開始時には6コンテンツを用意

独自のホームアプリで、子供がいたずらできないようになっているほか、子供が楽しく遊べるように工夫した

ホームアプリは「街」となっており、コンテンツ利用で建物を増やす、といった楽しみもある

旅行プランを提案する「dトラベル」

JTBとの業務提携によって提供される旅行サポートサービス「dトラベル」は、JTBの持つノウハウや約11,000件の宿泊施設、3万件のお勧め観光スポットなどをベースに、旅のプランを総合的にサポートするサービス。こちらは12月17日から提供を開始する。

JTBとの提携によって提供される「dトラベル」

8つの「気分」から旅のプランを提案してくれる

生活の情報を分析して健康な体に

子会社のドコモ・ヘルスケアを通じて提供する健康プラットフォーム事業「WM(わたしムーヴ)」でも、さらなる拡充を目指す。「WM(わたしムーヴ)」の新サービスとして「からだの時計 WM」を12月から提供を開始する。また、WM専用のリストバンド型計測機器「ムーヴバンド」(東芝製)も用意した。

健康をサポートする「からだの時計 WM」

専用のリストバンドを使って生活のリズムを計測する

WMは、からだの記録、健康管理のためのポータルサイト。歩数や消費カロリー、体重や体温などの「からだデータ」をWMに保存し、スマートフォンやパソコンなどから閲覧することができる。

東芝製のリストバンド型計測機器「ムーヴバンド」

記録された生活の情報は、タイムラインのように並び、SNSのように友だちとデータを共有したり、メッセージをやりとりしたりもできる

こうしたデータを新サービスとなるからだの時計で取り込み、生活リズムから理想的な24時間の過ごし方を提案。各ユーザーに適したダイエット・疲労回復・アンチエイジングに関する効果的なアドバイスを提供するという。また、エクササイズの動画や音楽などのコンテンツや医師や保健師などの専門家が健康相談に応じるサービスも提供。24時間365日、無料で電話相談を行えるとのこと。

スマートライフを他キャリアのユーザーにも

ドコモは今後、これらのdocomo IDを利用した新サービスを提供し、他キャリアユーザーにもサービスを開放することで、さらなる利用者の拡大を図る。加藤社長は、これらの施策を実行することで、他社ユーザーを含めた「お客様のスマートライフのパートナーになりたい」とアピール。「デバイスフリー、キャリアフリーになっていくことで、他社携帯を使っている人を含めた、多くの人に満足してもらえるサービスを目指していきたい」と語る。