AppleはiPhone 5sに搭載する64ビットプロセッサA7について、iPhone 5に搭載したA6と比較して、処理能力とグラフィックス性能がそれぞれ2倍となったことをアナウンスした。米サイトでの各種ベンチマークでも、Appleの主張を裏付ける数字が出てきている。

しかしiOS 6とiPhone 5の組み合わせであっても、これまで非常に快適に利用してきたことから、A7の性能を体験する場面はさほどない、と考えて来た。実際、ベンチマークを載せる米国のニュース等を見渡しても、「直ちに一般ユーザーが恩恵に授かることはない」との結論だ。ハードウェアとOSが64ビットに対応しても、アプリまで対応しなければ真価を発揮しない、というのが論旨だ。

しかし、5日間使っていて、意外と処理性能を体験する場面に出くわしていた。

例えば、筆者が愛用しているTwitterクライアント、「Echofon Pro for Twitter」。開発元のTwitterアカウントでiOS 7対応をうたっているが、現段階ではまだアップデートされておらず、iOS 6にマッチするデザインのまま利用している。iPhone 5とiPhone 5sで全く同じ環境にしてある状態で、iPhone 5ではiOS 7対応を果たしていない同アプリが、ツイートのスクロールや文字入力の際に、処理が追いつかずしばらく操作を受け付けない状態になってしまうことが多々あった。

しかしiPhone 5sでEchofonを動作させると、やはりiOS 7対応版ではない同じ環境であっても、アプリが固まってしまうことはない。Echofon以外のアプリでもこうした状況に多数出くわしていることから、iPhone 5sの処理能力でiOS 7にネイティブ対応していないアプリを何とか快適に動作させているのではないか、と推測している。

またiMovieやiPhotoなど、新しくアクティベートしたiOSデバイス向けに無料でダウンロードすることができるiLifeアプリでの写真や動画編集も、iPhone 5sの方が快適に素早く行うことができた。開くアプリごとに体験する差は異なるが、iOS 7へのアプリの移行が続く期間では、A7搭載の恩恵を体験する場面が多そうだ。