WWDC 2013の基調講演でその姿を現した「iOS 7」。iPhone OSから名を改め3年が経過した今年は、iPhone 5sで動作する64bit版も追加され、Apple製品におけるOSのメインストリーム的存在にまで成長を遂げた。その主な変更点を前後編の2回に分けてお届けしよう。

雰囲気が一変! その原因とは

iOS 7を利用してまず感じることは、画面全体から受ける印象の変化だ。iPhoneおよびiOSの登場以来一貫していた写実的かつ金属的なアピアランスは鳴りを潜め、全体的に色トーンが高めのビビッドなデザインに移行した。WWDC 2013の基調講演におけるデモなど、以前から公開されていた情報ではあるが、実際に手にして意のままに動かすと変化はより鮮明に伝わってくる。

ホーム画面における具体的な変更点を、上から順に挙げていこう。ステータスバーの色分けはなくなり、壁紙に完全に透過表示されるようになった。システムフォントが変更され、以前に比べるとウェイトが細くなっている。モバイル回線のアンテナの表示様式が一変し、バッテリー残量の大きさが若干拡大している。標準装備されるアプリのアイコンデザインはすべて変更され、フォルダは縁なしの半透明領域となった。画面下部のドックも平面的になり、メタリックな背景は取り去られた。

表示効果も細部にまで手が入れられている。ロックを解除すると、アプリのアイコンがまばらに上から落ちてくるように現れるため、SF映画でタイムワープを終えたときのような印象を受ける。フォルダを開くときの表示効果も、ズームインするかのようだ。一種のアニメーションだが、iPhone 5で試すかぎり動作はキビキビしている。

アプリの切り替えに利用する「タスクスイッチャー」は、操作性まで変わった。iOS 6までは、ドックがせり上がった部分にアプリアイコンが並ぶだけだったが、iOS 7ではアプリを閉じる直前の画面がCover Flowのようにプレビューされる。その画面をタップするとアクティブになり、上方へフリックすると完全終了されるしくみに変わっている。

スキューモフィックデザインのiOS 6(左)とフラットデザインのiOS 7(右)

フォルダをタップすると、画面中央へズームインするように開かれる

ホームボタンをダブルクリックして「タスクスイッチャー」を起動すると、アプリを閉じる直前の画面がCover Flowのように表示される。アプリを完全終了するには、プレビューを上方へフリックする

通知センターのデザインも一新され、内容によって「今日」と「すべて」、「未確認」のタブに分けられる