富士通のブースでは、スマートフォンでしか読み取れない情報を映像に埋め込む技術を紹介していた。これを利用すれば、テレビにスマートフォンをかざすことで視聴者特典を提供する仕組みなども簡単に構築できる。

デモの様子。左右に分割されたディスプレイには、一見して全く同じ動画が再生されている。しかし、特定の情報が得られるのは片方の動画のみだった

従来の技術では、専用の受信機が必要であったり、また画質が劣化するなどの課題があった。しかし富士通が独自に開発したこの新しい技術では、日常で使用しているテレビとスマートフォンで利用できる。人の目には認識できない微小の光を映像に埋め込むことで、情報の埋め込みを実現しているという。収録済みの映像だけでなく、生放送の映像にも情報を埋め込むことが可能とのことだった。

富士通の開発した、スマートフォンのカメラを使った新しい通信技術。人の目には認識できない微小の光を映像に埋め込んでいる

テレビの情報番組でクーポンを提供したり、旅番組で旅行のサイトに誘導したり、といった利用シーンが考えられる。また、街角でよく見かけるデジタルサイネージにも応用可能。コンサートや映画のチケットなどを簡単に予約/ 購入するといった使い方ができる。時間帯により提供する情報を切り替えられるので、スーパーのタイムセールや、繁華街の案内などにも利用できる。このほか富士通ではパブリックビューイングに使用する大型ディスプレイでの動作も確認している。例えばオリンピック会場などで、スマートフォンを持っている人に向けて競技のリプレイをリアルタイムに提供する、などの使い方も面白いだろう。

チーが家電製品に対応

スマートフォンを上に乗っけるだけで充電を開始するQi(チー)に関する話題も提供されていた。NTTドコモが提供する「おくだけ充電」により、一般消費者にとっても身近な技術となりつつあるチー。国際標準規格を提唱するWPCのブースでは、電気ケトルやミキサーなどのキッチン製品をチーに対応させるというコンセプトが紹介されていた。

WPCでは、コードレスキッチンというコンセプトでチーの新しい使い方を提案する

キッチン周りがコードレス化することにより、利用者の使い勝手も格段に向上するだろう。チー対応の電気ケトルなどは、すでに中国のメーカーで製品化の動きがあるという。近い将来、リビングのテーブルに組み込まれたチーの上で動く家電製品なども登場するかも知れない。これにより朝はパンを焼くトースターを動かし、昼はスマートフォンを充電させ、といったような利用シーンの多様化が期待される。