ソースネクストは、「ソースネクスト 海外事業戦略発表会 第二弾&セキュリティ新製品発表会」を行った。ソースネクストは、2013年4月24日にも海外事業戦略発表会を行っており、今回はその第二弾となる。同社の海外事業は、米国シリコンバレーに2012年9月にSOURCENEXT Inc.を設立したところからスタートする。米国でも定評のあるソフトウェアを選び、国内での提供を開始した。
松田氏は、同社の会社のミッションとして「開発者とお客様をつなぐ」ということをあげた。これは同氏が、かつて開発者であったことに由来するという。良いコードを書いても、それがお客様に使ってもらえない。そこで、そのむなしさを解消し、開発者とお客様がつながることで双方にメリットがでるようにすることが目標である。その両者をつなげることがソースネクストのミッションであると宣言した。今回発表された海外事業戦略もその一環と言えるだろう。良いソフトとお客様をつなぐ試みにもなる。
新たな海外事業戦略で提供されるソフトウェア
さて、今回、発表された海外事業戦略のパートナーは、図2の通りである。
以下、具体的な製品を見ていこう。まずは、Splashtop社のSplashtop Personalである。PC(Windows、Mac)やiOS、Android端末から自宅のPCにアクセスするものである。日本国内では、Splashtop Personalに有料アドオン機能を追加したSplashtopプレミアムとしてリリース予定である。アドオン機能を追加することによって、
・外出先などどこからでもアクセス可能
・リモート画面上にソフトキーを作成・配置可能
・通信は暗号化
・Whiteboard機能が利用可能
などが可能となる。価格は1年版で2,990円である(出荷時期は未定)。
次は、Tongbu Networks社のAirDroidである。これは、スマホ遠隔操作サービスである。Android端末に対し、PCから操作・編集・位置情報確認が行える。すでに2,000万件以上のダウンロードもあり、GooglePlayでも4.7と高い評価を得ている。AirDroidは無料版もあるのだが、バージョン2.0から有料のプレミアム版が登場した。その違いをいくつか紹介すると、以下の通りである。
・3G/4Gの通信量上限が30日100MBから1GBに増加し、100MBを超えるファイルの転送も可能に
・カメラ・通話機能がモバイル接続時も利用可能(従来は同一WiFIネットワーク内のみ)
・Intruder機能(紛失したスマホのロック解除に失敗した人を撮影)搭載
・広告の非表示
国内ではプレミアム版が販売される予定である。
いきなりPDF Readerは、Unidocs社のAndroidアプリ「ez PDF Reader」を日本向けにアレンジしたものである。本を読むような感覚で、PDFの閲覧ができる。それだけでなく、PDFファイル上に手書きの書き込みを行ったり、蛍光マーカー、注釈やコメントを追加したりもできる。さらには、編集したPDFファイルをメール添付で送信する機能などもある。ソースネクストでは、いきなりPDFブランドとコラボレートを行い、2013年10月にリリース予定である。
ポンと出る立体ぬりえは、ニュージーランドのPuteko社のcolAR Mixを日本市場向けに変更を加えたものである。専用サイトからダウンロードしたイラストに自由に色を塗り、その紙をカメラで撮影すると、3Dアニメーションとなるものだ。最新のARテクノロジーを利用している。日本国内でのリリース予定は、今のところ未定である。
最後は、Rovio社の人気ゲームAngry Birdsである。すでに、iOS、Android、PCなどマルチプラットフォームに展開されるゲームである。卵を盗んだブタたちに、Angry Birdsが復讐するというシナリオである。鳥たちをパチンコで飛ばし、ブタの防御をかわしてステージをクリアしていく。日本国内では、PC版の販売、パソコンソフト使い放題のコンテンツとして提供されるとのことである。
松田氏だけでなく、各社のCEOや日本担当が、今後の展開などを語った。
新たなセキュリティ製品が加わった「ZERO」シリーズ
これまでも同社は、ウイルスセキュリティZEROとスーパーセキュリティZEROという2つの製品をリリースしていた。そこへ、2013年5月にダウンロード版としてクラウドセキュリティZEROを追加した。今回、そのクラウドセキュリティZEROをパッケージ化し、新たなZEROシリーズに加わった。
従来製品では、パッケージに統一感を得ることができていなかった。しかし、クラウドセキュリティZEROのパッケージ化に合わせ、統一的なデザインにしている。対応OSや価格などは、こちらの記事を参照していただきたい。まず気になるところは、従来製品との比較である。これについては、以下の表1を参照してほしい。
表1 「ZERO」シリーズ3製品の機能比較
/ | ウイルスセキュリティ ZERO | クラウドセキュリティ ZERO | スーパーセキュリティ ZERO |
---|---|---|---|
1台用標準価格 | 1,980円 | 2,980円 | 3,990円 |
マルウェア対策 | ○ | ○ | ○ |
ファイアウォール | ○ | ○ | ○ |
脆弱性の検査 | ○ | ○ | ○ |
個人情報保護 | ○ | ○ | ○ |
フィッシング対策 | ○ | ○ | ○ |
Webフィルタリング | ○ | ○ | ○ |
迷惑メール対策 | ○ | ○ | ○ |
ペアレンタルコントロール | ○ | ○ | ○ |
ファイル消去 | × | ○ | ○ |
パフォーマンス最適化 | × | ○ | ○ |
レスキューモード(ディスク) | × | ○ | ○ |
仮想ブラウザ | × | × | ○ |
決済ブラウザ | × | × | ○ |
SNS対策 | × | × | ○ |
ホームネットワーク管理 | × | × | ○ |
盗難対策 | × | × | ○ |
ファイル暗号化 | × | × | ○ |
価格・機能のいずれにおいても、従来のウイルスセキュリティ、スーパーセキュリティの中間に位置するといえるだろう。機能面に注目してみると、エンジンにはeScan Internet Security Suiteが採用されている。このエンジンは、クラウドスキャンエンジンと呼ばれるものだ。従来のスキャンエンジンでは、定義ファイルをPC内に保有する。したがって、定義ファイルの更新は不可欠である。クラウドスキャンエンジンでは、定義ファイルなどをクラウド上に配置する。したがって、脅威が検知されると迅速に対応がとられる。また、ユーザー側で定義ファイルの更新といった負荷に悩まされずにすむ。
多少の差はあるが、機能的には標準的な総合セキュリティ対策ソフトといえる。さて、クラウドセキュリティZEROだけでなく、ZEROシリーズの魅力に更新料0円がある。OSのサポートが続く限り、更新料が不要となる仕組みである。本稿執筆時点では、以下のようになる。
・Windows 8:2023年1月10日まで
・Windows 7:2020年1月14日まで
・Windows Vista:2017年4月11日まで
・Windows XP:2014年4月8日まで(サポート対象外だが、定義ファイルは2015年12月末まで提供される)
発表会の後半には、スペシャルゲストとして応援隊長のベッキーさんが登場した。トークショーなどが行われた。