説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「ドコモからiPhoneが出たら、どうなるの?」という質問に答えます。
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ここ数年たびたび、某経済紙を中心に「ドコモからiPhone」という話が噂にのぼっては消えしたことは事実です。取り扱い開始に至らないものの繰り返される同様の報道は、別な意味で注目を集めていましたが、今回は様子が異なります。世界展開する情報サービス会社やNHKのテレビニュースでも「ドコモがiPhone販売へ」と報道しており、情報の信憑性が高まりました。
これまでドコモはiPhoneを扱わず、Android端末でスマートフォン市場に対応してきました。しかしiPhoneの人気は高く、ソフトバンクやau/KDDIに乗り換える顧客が増え、携帯電話ユーザ減少(MVNOなどの効果により契約数自体は増えています)を招いた要因とされています。2013年夏モデルでは、SONYとサムスンの端末を推す「ツートップ」戦略を展開しましたが、翌月には純減に陥っています。iPhoneを扱うようになれば、顧客離れを止める効果を期待できるでしょう。iPhoneに興味があるドコモユーザは、MNP転出せずに新しいiPhoneへ機種変更できるようになりますから、既存の顧客にもメリットがある話といえます。
ただし、いくつかの懸念は残ります。ドコモには、スマートフォン向けキャリアメールサービス「SPモードメール」がありますが、これがただちにiPhoneで利用できるとは考えにくい状況です。2013年1月以降発売の端末は、10月下旬をめどにSPモードメールから後継サービスの「ドコモメール」へと移行する計画が発表済ですから、ひょっとするとiPhoneもそこに含まれるかもしれません。他の携帯電話/固定電話への"かけ放題"がどうなるか、といった通話関連サービスも現時点では不明です。
新しいiPhoneでドコモの通信網をフルに活用できるかどうかもわかりません。現行のiPhone 5は800MHz帯に対応しないため、この帯域をメインバンドとするau/KDDIはソフトバンクに比べLTE対応で不利でしたが、それは800MHz帯のFOMAプラスエリアを展開するドコモも同じです。快適に通信できるかどうかは、新しいiPhoneの仕様にかかっている、ともいえるでしょう。