ICF-B88では、手回し発電からダイレクトにスマートフォンなどに充電を行うことができる。最悪の場合、人力で何とかできてしまうというのは安心だ。では、手回しでどのくらいの充電が可能なのだろうか。

ハンドルを引き出して回転させると、発電できる

ICF-B88の出力用USB端子に、バッテリー容量がなくなってシャットダウンしたスマートフォンを接続、あとはとにかくハンドルを回すだけだ。ハンドルを回転させると、ハンドル軸のそばにある「手回し発電」のランプが点灯する。ただし、このランプは発電されているという目印であって、スマートフォンに充電できているかどうかを示すものではない。スマートフォンに充電されているかどうかは、スマートフォン側の充電ランプが点灯しているかどうかで判断することになる。

目安としては、1秒間に2回転のペースとされているが、ハンドルには負荷がかかっており、なかなかキツい。さらに、ハンドルを折りたたむデザインから生じる制約なのかもしれないが、ハンドルのグリップ部分が小さく、しっかりと握れるようなサイズではない。指でつまんで回すようになっている。また、力を入れて回していると、折りたたみ機構が働いてしまい、ハンドルが倒れてしまうことが何度かあった。それでも5分間回し続けたところで、充電された量を確認してみたのが、次の写真だ。

5分間ハンドルを回した際の充電量

シャットダウンしたスマートフォンに、5分間の手回し充電で、このレベルまで充電できた。なおスマートフォンは、3分間ほどで再びシャットダウンしてしまった。バッテリーを消費するさまざまなサービスをオフにしておけば、もう少し稼働時間は延びたのかもしれないが。いずれにせよ、取扱説明書には「スマートフォンや携帯電話の電池が完全になくなる前に充電してください」と書かれている。スマートフォンは、起動時に多くの電力を使う。完全にバッテリーが空になってシャットダウンしてからだと、手回し充電だけではあまり長時間の利用は難しいようだ。

電池からの充電

さて、ICF-B88では、内蔵充電池、または単3形電池からもスマートフォンなどに充電を行うことが可能だ。なお、アルカリ乾電池が推奨されており、マンガン乾電池からの充電は行えないとされている。

今回は、手元にあった単3形のNi-MH充電池「充電式エボルタ」を使用してみた。ただし、使用したのは、容量1,000mAhのお手軽モデルだ。これを2本、ICF-B88の電池ケースに入れて、先ほどと同じようにシャットダウンしたスマートフォンを接続し、充電を行ってみた。

Ni-MH充電池からスマートフォンに充電

1/3程度まで充電された

今度は、1/3程度まで充電された。これならばしばらく通話もできるし、さまざまなサービスも利用できる。また、今回は容量1,000mAhのNi-MH充電池を使用したが、標準的な2000mAhのNi-MH充電池を使用すれば、さらに充電容量は増えることになる。

防災用だけでなく、実用品としても

手回しのみでのスマートフォンへの充電は、あくまでも非常用として考えたほうがよいだろうが、一方、乾電池や内蔵充電池からならば、実用レベルの充電を行うことができる。

なお、使用している電池の容量が少なくなって、スマートフォンへの充電がストップした状態でも、ICF-B88のラジオやLEDライトはしばらく使用することができる。これは、内蔵の充電池でも同様だった。また、ラジオやLEDライトはそれほど消費電力が大きくなく、手回し発電でも十分実用的に使うことができる。公式のスペックでは、1分間の手回し発電で、FMラジオならば50分、AMラジオならば75分、LEDライトは15分使用できるとされている。

今回、Ni-MH充電池で使用してみたのだが、放置しておいても容量が減らないNi-MH充電池とICF-B88の組み合わせは、安心度が高いといえるだろう。停電などの非常時だけでなく、コンセントの設備がない場所でキャンプなど、アウトドアでも便利そうだ。