Microsoftは6月18日(現地時間)、JavaScriptに静的型付けとクラスベースオブジェクト指向を加えた「TypeScript(タイプスクリプト)」の大幅なバージョンアップを、自社ブログの一つ「MSDN Blogs」で発表した。TypeScriptチームのプログラムマネージャーであるJonathan Turner(ジョナサン・ターナー)氏は"これまでにない大幅なアップデート"と最新版にあたるTypeScript バージョン0.9を紹介している。

TypeScriptは、JavaScriptの構文の拡張にあたるため、既存のJavaScriptプログラムにいくつかの修正を加えるだけで動作する。大規模なJavaScriptアプリケーションの開発を行う際に発生する欠点を補うため、オブジェクト指向プログラミング言語の一つ「C#」開発陣の一人、Anders Hejlsberg(アンダース・ヘルスバーグ)が開発に携わった。

今回のバージョンアップでは、型をパラメーターとして与え、その型に対応したクラスや関数を生成する「Generics(ジェネリクス)」を搭載。C++やJavaなどの主な静的型付け言語では一般的だ。また、その他にも「Overloading on Constants(定数によるオーバーロード)」や、Node.jsなどの外部モジュールを読み込む「export =」などの機能が新たに加わっている。

大規模なJavaScriptアプリケーション開発時に利用されるTypeScriptコンパイラーも再設計が行われ、これまで発見した150以上もの問題を改善すると同時に、潜在的なエラーを発見することが可能になったという。

TypeScriptは同社の開発環境であるVisual Studio 2012のプラグイン形式で提供されるため、Visual Studio 2012製品版/試用版もしくは、Visual Studio Express 2012が必要。ただし、コンパイラーはApache 2.0ライセンスのオープンソースで提供されるため、一般的なテキストエディターから呼び出して利用することも可能だ。

今回リリースされた「TypeScript for Visual Studio 2012」

静的型付け言語では「Generics」などいくつかの新機能をサポート