使い慣れたソフトで最先端のデータ分析・解析は着実に利活用されている
実際に、沖縄国民健康保険団体連合会では、レセプトデータをベースに会計結果処理から予防等へのビッグデータ分析にExcelが用いられているという。データセンターにSQL Server、SharePointを、クライアントマシンにExcelを利用する、という構成となっている。それにより、改修期間は6カ月から3日へ、改修コストも従来の1/10と迅速且つ安価になったという。
このように、公共的な業務においてもMicrosoft Excelを筆頭に、我々一般ユーザーが利活用しているソフトウェアを120%活用しているのだ。それらの取り組みを推し進めるのが、公共イノベーション推進室となり、今後担うであろう責務の範囲は非常に広大だ。「行政・医療・教育」はそれぞれシナプスのように絡み合っており、公共イノベーション推進室の取り組みによって得られる効果は、個別サービスのクオリティ底上げやサービス向上に寄与することは言うまでも無い。
インフラ業界、医療業界での活用事例では、タブレット端末はもちろん各種Microsoft製品群のポテンシャルが見て取れた
記者説明会では、実際にマイクロソフトのテクノロジーを活用し、現在運用されている事例が紹介された。ひとつは、東京大学大学院情報学環特任教授の石川雄章氏による「ICT活用によるインフラの管理」の事例で、先の笹子トンネル事故以降、国土交通省では大臣をトップとした「社会資本の老朽化対策会議」を設置し、社会資本メンテナンス戦略小委員会において維持管理に関する緊急提言を実施。施設の老朽化が進み、技術者の減少が予測されるなか、2020年以降新設費用を維持管理・更新費用が上回るという試算があるという。
そこで、抜本的な作業の進め方を見直さねばならないのだが、今までとは異なり、情報技術の進歩、それら技術に纏わるコストが低下したことから、インフラにおいても情報技術の活用に大きな可能性が生じてきたという。実際に東北インフラ・イノベーション・コンソーシアムにより、被災地のインフラ復旧支援、メンテナンス技術拠点の形成・展開が図られており、自治体、現場作業員、建設コンサルタント、大学関係者や専門家を繋ぐシステムの構築に着手。現場作業員の作業効率化やデータマイニングによる評価支援、遠隔地を繋ぐ会議、民間で活用されているCRMを行政業務でも活用していこうという取り組みがなされているそうだ。
Surfaceのようなタブレットマシンで点検業務をデジタル化、スピーディにデータ共有を行う取り組みも。また、民間ではもはや当たり前になりつつあるCRMも行政業務で活用し、サービス提供者、利用者双方のジレンマ解決に役立つことだろう |
また、医療の分野においての事例では、東京慈恵医科大学脳神経外科/カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部付属病院UCLA Medical Center、医学博士の高尾洋之氏より「IT医療システムの活用と開発」が披露された。昨今その影響が顕著になり社会問題へと発展している医療格差。医師不足、緊急搬送のたらい回し、過酷な勤務など多くの悩みを抱えている現状を、ITを利活用して解消しつつ、日本全国の医療水準向上の一助となるよう、独自のアプリケーションを活用しているという。ビデオ会議を簡便に行え、例えば1枚のCT画像を皆で見ながら検討を行う、患者の心拍数や血圧をリアルタイムで確認できる等、遠隔画像診断治療システムや日常診療現場での負荷軽減を図ることを目的に開発・運用されている。それこそ、Surfaceのようなタブレットマシンであれば、時も場所も選ばず、さらには、緊急搬送時に患者の容態を早期に医療現場と共有するなど、医療格差是正や医療の現場が抱える悩みを解消してくれることだろう。