三連ファン搭載のリファレンスカード
ということで、実際のカードを見てみることにしよう。やはり三連ファンはかなりのインパクトというか、主張を感じる(Photo12、13)。
Photo12:三連ファンの製品そのものは他にも存在するが、ここまでファン径が大きいと、ビデオカードの高さも高くなりがちなので、三連ファンの割には小さくまとまっているとは思う |
Photo13:このアングルだと、あまりの長さに薄いと錯覚しそうになる。ちなみに電源は8pin×2でTDPは375Wとみられる |
全体を見ると、やはり300mmを超える長さは非常に存在感が大きい(Photo14,15)。
Photo14:カード長は305mm(実測値)。勿論ATXマザーの幅を超えているので、SATAポートが基板と垂直になっているタイプのマザーボードだと、かなりの確率でSATAポートが干渉する。ちなみにカード全体の重量は1,204gだった(実測値) |
Photo15:裏面はヒートシンクとなるアルミパネルで覆われている |
バックパネル周辺を見ると、Radeon HD 7970などのリファレンスと異なり、必ずしもヒートシンクからの排熱をトンネル構造で逃がす形ではないが、発熱の多さからか排気スロットは一杯の幅になっている(Photo16)。
Photo16:RADEON HD 7970のOEM製品の中には排気スロットをもう少し短くして、DVIを縦に2つ並べ、その横にMini DPを4つ並べたものも見受けられたが、今回はそれをやると排気が間に合わないのだろう |
さて、まず裏面のヒートシンクを取り去るとこんな感じ(Photo17)。裏面にも12個のGDDR5が配されているのが分かる。このGDDR5チップは熱伝導シールを介してヒートシンクに密着しており、これで放熱を行う形だ。
一方表面は?というとこんな感じ(Photo18)。GPUには刻印はなし(Photo19)。
GDDR5はSK HynixのH5GQ2H24AFRが採用されていた。
PCI Express Switchには(昨年IDTに買収されそこなった)PLX TechnologyのPEX8747を搭載する(Photo21)。電源管理ICはVolterraのVT1556MFが利用されていた(Photo22)。
WindowsのPerformance Indexは8.1(Photo23)。
GPU-Zではこんな結果となった(Photo24)。また2つのGPUだが、Device Managerで表示するとこんな具合になっている(Photo25)。
Photo25:最初のPCI-to-PCI BridgeがPLXのSwitch。次のPCI-to-PCI BridgeはTahitiコア内部にあるもので、その先にGPUそのものと、あわせてHDAコントローラもぶら下がるので、こんな具合に。2つ目のTahitiコア側のHDAコントローラは殺してあるようで、なのでPCI-to-PCI Bridgeの先にGPUだけがぶら下がる形になっている |
ところでコード名の"Malta"について。Maltaはマルタ共和国の事と思われるが、コード名の由来はともかく、以前はこれは"New Zealand"というコード名で知られていた。
これが何でMaltaに変わったかだが、要するにNew ZealandとMaltaはどちらもDual GPUではあるが、動作構成が異なっている。New ZealandはもともとRadeon HD 7950相当のものをDual GPU化するもので、これはFirePro S10000として昨年11月に発表された。
FirePro S10000はHPC向けということで、必ずしも300WのTDP枠内に収める必要はなかったのだが、この構成でも性能面でGeForce GTX 690などには勝てないと判断したのだろう。なのでデスクトップ向けにNew Zealandをそのままリリースという計画は放棄され、Radeon HD 7970相当に動作周波数を引き上げてDual GPU化したのがMaltaという事の様だ。
当然TDPはさらに上がるわけで、これに対応するために電源回路はあらためて作り直しになったようで、このためGPUそのものは一緒だが、基板はNew ZealandとMaltaで異なるものになっているそうだ。
その割に補助電源ピンそのものはFire Pro S10000と同じく8pin×2なので、これだけみれば最大375Wということになるが、どのみち8pin×2という構成が規格外であり、また実際の電源を見てみると8pin電源1本あたり200W以上の供給能力を持つものが少なくない現状を鑑みると、8pin×3とか8pin×2+6pinとかにしなくても行ける、と判断したようだ。
実際、今回消費電力に関してはPhoto08のZEROCORE Technologyについては解説があるものの、肝心のTDPの数字は未公開のままである。ということで、フルに稼動させると結構な消費電力になることは覚悟しておくべきなのかもしれない。
テスト環境
ということでいよいよベンチマークであるが、幸いにもGeForce GTX Titanのレビューに使った環境が一切手付かずで残っていたので、今回はこれをそのまま使い、GeForce GTX Titanなどの結果とも同時に比較してみる事にした。ということでテスト環境そのものはこちらと全く一緒で、ビデオカードおよびドライバのみ異なるだけである(表1)。
■表1 | ||||||
CPU | Intel Core i7-3960X | |||||
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M/B | ASUSTek P9X79 | |||||
BIOS | Version 3305 | |||||
Memory | DDR3-1600 CL9 2GB×4 | |||||
Graphics | NVIDIA GeForce Titan Reference Board | NVIDIA GeForce 680 Reference Board | MSI N680GTX Lightning | ASUS HD7970-3GD5 | SAPPHIRE HD7970 3G GDDR5 | AMD RADEON HD 7990 Reference Board |
Driver | GeForce Driver 314.09 | GeForce Driver 313.96β | Catalyst 13.2β | 12.102.3-130412a | ||
HDD | Intel SSD 520+HGST 500GB SATA 3G(NTFS) | |||||
OS | Windows 8 Pro 64bit 日本語版 |
ベンチマーク結果
ではいよいよベンチマーク結果を。なお、グラフにおける表記は
- HD 7970 : SAPPHIRE HD7970 3G GDDR5のみの構成
- HD 7970 CF : SAPPHIRE HD7970 3G GDDR5+ASUS HD7970-3GD5のCrossFire構成
- HD 7990 : Radeon HD 7990リファレンスボードのみの構成
- GTX 680 : GeForce GTX 680リファレンスボードのみの構成
- GTX 680 SLI : GeForce GTX 680リファレンスボード+MSI N680GTX LightningのSLI構成
- GTX Titan : GeForce GTX TITANのみの構成
となっている。
ちなみに今回は、テスト手順へのリンクは省いた。これはGeForce GTX Titanのレビューと全く同一のためで、なので手順の確認が必要な場合はGeForce GTX Titanのレビューを参照されたい。
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