考察とまとめ

ということで簡単にRadeon HD 7990のレポートをお届けした。総じて言えば「Radeon HD 7970のCrossFireと大きくは変わらない性能が1枚のボードに収まった」という事になる。

ゲームにおけるフレームレートの傾向などもほぼ一緒であった。PCIe Switchを搭載する関係で、メモリアクセスなどは環境によっては通常のCrossFire構成の方が有利な場合もあるが、これはプラットフォームに依存する。

PCI Express x16レーンが1本しかない環境であれはデメリットは少なく、むしろGPU間の通信が高速になる分若干性能は改善するだろう。

またAMDの主張する「単体ビデオカードとして最速」も微妙なところ。確かにゲームによってはそうしたケースもあるが、F1 2012の様にGeForce GTX Titanが最高速なケースもあるし、GeForce GTX 680 SLIと結構差がある(=やや動作周波数の低いGeForce GTX 690と比べても逆転はしないだろうと思われる)ものも少なくない。

なので、「単体ビデオカードとして最速グレードの1枚」ではあるが、最高速と断言するのは難しいところだ。

問題は消費電力と価格である。最近AmazonではRadeon HD 7970の扱いがめっきり減ってしまっており、この原稿執筆時点で一番安い新品はこちらなので、2枚でほぼ10万となる。

CrossFireだと2枚構成だから拡張スロットを4スロット分占有することになり、これが2スロット分で済むというメリットは間違いなくあるにせよ、そのメリットに追加でいくら支払えるか、は微妙なところ。

初値が高騰するのはまぁ仕方ないとはいえ、落ち着いたときに12万円以下に落ちない様であれば、筆者ならばRadeon HD 7970のCrossFire構成を選ぶだろう。ちなみにこの原稿を書いてるのは23日の14時であるが、現時点でAMDより価格に関する情報が伝えられていない。

消費電力も、まぁこのグレードの製品を選ぶ人がTDPが300W以上であることをそれほど問題にするとは思えないが、グラフ132・133で分かるとおり半端でない消費電力があり、なので電源はかなりゆとりを持った(8pinのレーンが実質200Wくらい供給できる余力を持った)ものを選ぶ必要がある。

また消費電力が多いということは発熱も当然それなりであり、これに耐える環境が必要である。なんというか、GeForce GTX Titanはかなり行き着いたスペックだなぁと感じた製品であったが、Radeon HD 7990は「突き抜けちゃったなぁ」と強く感じる。そうした「突き抜けた」製品をお好みのユーザーにはお勧めできる、とは言えるだろう。