米Facebookは4月4日(現地時間)、AndroidスマートフォンのHome画面をFacebook仕様にする「Facebook Home」を発表した。また台湾HTCと米AT&Tと共同でFacebook Homeに初対応した端末「HTC First」の4月12日からの提供開始もアナウンスしている。今回は、これら2つの新サービス/製品について各所の反応と、どの動向について考察してみる。
Facebook Homeをサポートする端末は今後も増加へ
Facebook Homeについて簡単に表現すれば、「Facebook利用に特化した専用のホームスクリーン+ランチャーアプリ」といったところだ。Facebook CEOのMark Zuckerberg氏によれば、現在のスマートフォンは「アプリ利用中心」の作りとなっており、特定のタスクをこなすにあたって適時目的のアプリを切り替えていく手順を踏む必要があるという。Facebook Homeはこれを「人を軸とした利用スタイル」「SNS中心」で利用していくための仕掛けを用意する。アプリアイコンやウィジェットの並んでいた従来のスマートフォンのホーム画面の内容をFacebookのアップデートで置き換え、写真やコメントが並ぶ画面へと変える。さらにFacebook Messageなど、Facebook特有の機能を素早く呼び出せるランチャーなどが用意される。
Facebook Homeについて1つ大きなポイントを挙げるとすれば、「基本機能はアプリとして提供される」という点だ。つまりFacebook Home利用のための専用端末を用意するわけでもなく、Android OSそのものに直接手を加える(Fork: フォーク)わけでもない。Facebook Homeが対応さえしている端末であれば、誰でもアプリをダウンロードしてFacebook Homeが利用できるわけだ。
Facebook Homeアプリは4月12日より提供が開始されるが、何点か制約があるのでまとめてみる。
・ 当初対応するのはHTC One X、Samsung GALAXY S III / GALAXY Note IIの3機種のみ。後にHTC OneとSamsung GALAXY S 4 (未発売)に対応
・ 対応OSはIce Cream SandwichまたはJelly BeansのAndroid 4.x以上
・ 最初のバージョンは"米国のみ"での提供
の3点となる。旧端末にFacebook Homeを導入してFacebook専用端末にしようと考えた方もいるかもしれないが、対応機種がまだ非常に限られていること、さらにOSが新しいバージョンのみに限定されていることを考えると、実際にこうした利用は難しいだろう。また当初提供されるのが「米国のGoogle Play Storeのみ」ということで、日本からの利用は難しい。Facebookの説明によれば、今後毎月中旬の決まった日付にFacebook Homeの月次アップデートが提供されていくということで、このアップデートの過程で機能強化が行われたり、あるいは対応機種の増加や各国市場向けストアの横展開などが進んでいくことだろう。
Computerworldでは、このFacebook Homeに対応する端末が今後さらに拡大するという各方面の見方を紹介している。例えばMoor Insights and StrategyのアナリストPatrick Moorhead氏は、競争の過程でHTCとSamsung以外のメーカーも同アプリの対応を進めてくると分析している。Facebook自身もサポート拡大に向けて携帯キャリアや端末メーカーへの接触を強めていくほか、端末キャリアらの要請によって端末メーカーらがサポートする可能性を指摘する。GartnerアナリストのCarolina Milanesi氏も同様の意見で、端末メーカーが自ら可能性を閉じることは考えられず、むしろ積極的にサポートしてくると考えているようだ。もっとも、これは既存ユーザーの多い米国や、急激にユーザー数が伸びている東南アジアなど途上国を中心とした話で、日本はその限りではない。これに関して、端末開発の方向性を握っているNTTドコモなどキャリアがどう動くかに注目だろう。
2度目のチャレンジとなるHTCの「Facebook携帯」
Facebook Homeに関してもう1つ注目なのは、専用端末やAndroid OSへのForkの話題を否定しつつ、当該アプリをプリインストールした「HTC First」が発表されたことだ。こうした端末が登場した理由についてZuckerberg氏は「インストール等の作業が発生しないFacebookの利用体験向上」を挙げている。つまり「Facebook利用を前提としたユーザーへの専用端末」提供だ。今回最初のパートナーに選ばれたのはHTCで、携帯キャリアとしてはAT&Tがローンチのタイミングで独占販売する形となった。今後米国の他のキャリアや、欧州ではOrange (英国ではEE)から順次端末が発売されるだろう。