Office 2013 RTの制限を確認する

Surface RTに「Office 2013 RT」が同こんされているのは既に述べたとおりだが、通常販売されている「Office 2013」とは機能的に異なる点がいくつか含まれている。以前からMicrosoftもこの点を説明してきたが、ここで各制限機能を改めて解説しておこう。まずは図31をご覧いただきたい。これがOffice 2013 RTに設けられた制限だ(図31)。

図31 Office 2013 RTに設けられた各種制限

「マクロ、アドイン、フォーム、およびカスタムプログラム」はVBA(Visual Basic for Applications)などで開発したユーザーもしくは会社独自のカスタムプログラムを使用できないということだ。これはOffice 2013 RTがVBAをサポートしていないからである。

「電子メール送信機能」は文字どおり電子メールクライアントと連動し、作成した文書や書類を直接送信するというものだが、電子メールを利用したWordの差し込み印刷機能なども使用できなくなるため、不便に感じる方も少なくないだろう。

「SkyDrive Sync統合」とは、ローカルディスクとオンラインストレージであるSkyDriveの自動同期機能を指すものだが、Windows RT用SkyDriveアプリを提供していないため、共通の制限に含めているようだ。なお、"名前を付けて保存"などのファイル保存は初期状態でSkyDriveが選択されているのは、Office 2013と同じである。

「数式エディタ3.0」は古いバージョンのOffice向けツールなので未サポートというのは理解できるが、Microsoftが企業の新しいコミュニケーションツールと位置付けているLync(リンク)ミーティングからのファイルダウンロードを制限する「Lyncファイルのダウンロード」はいかがなものだろうか。技術的な問題なのか使用頻度の少ない筆者は知る由もないが、ビジネスユーザーがOffice 2013 RTを選択する上でデメリットとなる可能性はある。

個別のOffice 2013 RTアプリケーションに目を向けてみると、Word 2013 RTは「特定の言語の文章校正機能」をサポートしていない。具体的には英語/フランス語/日本語など13カ国語に対応し、スペルチェッカーはより多くの言語をサポートしているため、欠点とは言い難い。

Excel 2013 RTの「データモデルの作成」は、複数のテーブルからデータを統合する機能で、リレーショナルデータソースをExcelブック内で効果的に構築するというものだ。従来のピボットテーブルやピボットチャート、クエリーテーブルは使用できるので、既にあるExcelブックをExcel 2013 RT上で使用する際は注意が必要となる。

PowerPoint 2013 RTは制限が多く、「スライドライブラリActiveXコントロールの使用」「古いメディア形式ファイルの使用」「フラッシュビデオの再生」「ナレーションの録音」が使用不可能。OneNote 2013 RTは「音声とビデオの録画」「スキャナからのインポート」「音声とビデオの検索機能」が制限されている。

残念ながら筆者は久しくPowerPointシリーズやOneNoteシリーズを使用していないため、これらの制限がどのようなデメリットを引き起こすか、述べることができない。Surface RTユーザーもしくは、今後ユーザーになろうとしている方は、これらの制限を踏まえた上で判断すべきだ。

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