既報の通り、本日22日にAMDよりRadeon HD 7790が発表された。まだあくまで発表であって発売はもう少し先になるようだが、取りあえずその性能をご紹介したい。2012年2月に発表された「Radeon HD 7770」などとの比較を中心にベンチマークテストを行った。
新コアを投入したRadeon HD 7790
Radeon HD 7790は型番から言って、Cape VerdeことRadeon HD 7750/7770の延長にある製品に思えるのだが、公開されたスペック(Photo01)と従来のRadeon HD 7700シリーズのスペックを比較すると、微妙にマッチしていないことが分かる。
もう少し細かな比較がこちら(Photo02)であるが、明らかにコアのシェーダ数が増えている。Primitiveも2prim/clockなので、これはCape VerdeというよりはPitcairnコアのRadeon HD 7800シリーズに近い。
Photo02:GCNの場合、Stream Processorが64個で1つのCompute Unit(CU)となる。なのでHD 7750が8CU、HD 7770が10CUで7790は14CUとなる計算 |
ただRadeon HD 7870では22CU、Radeon HD 7850でも20CUで、ここから8つCUを無効化するのは、いくらなんでもちょっと無駄が大きい訳だが、今回同社はHD 7790向けに新しいコアを用意した事を発表した(Photo03)。
内部構成はPhoto04に示す通り、デュアル構成になっている。Radeon HD 7700はこちらの通りシングル構成だったから、もう全然中身が違う事になる。
Photo04:構成的には、限りなくRadeon HD 7800シリーズに近い |
ところで、ここでちょっとした邪推が湧いてくる。現在のRadeon HD 7790は、フル構成なのかどうか? である。表1は既存のRadeon HD 7000シリーズのCU数とトランジスタ数、ダイサイズをまとめたものだ。ここから、ラフにCU1個あたりのトランジスタ数/ダイサイズを計算してみた。
■表1 | ||||||
コード名 | 代表的な製品 | CU数 | トランジスタ数(億個) | ダイサイズ(平方mm) | トランジスタ数/CU(億個) | ダイサイズ/CU(平方mm) |
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Cape Verde | Radeon HD 7770 | 10 | 15.0 | 123 | 1.50 | 12.30 |
Bonaire | Radeon HD 7790 | 14 | 20.8 | 160 | 1.49 | 11.43 |
16 CU Model | 16 | 1.30 | 10.00 | |||
18 CU Model | 18 | 1.16 | 8.89 | |||
Pitcairm | Radeon HD 7870 | 22 | 28.0 | 212 | 1.27 | 9.64 |
Tahiti | Radeon HD 7970 | 32 | 43.1 | 365 | 1.35 | 11.41 |
実際にはL2キャッシュの分とかメモリコントローラ、あるいはUVD系なども含むし、フロントエンドはCU数と比例しないから、かなりラフな計算であることはお断りした上で比較してみると、現在のRadeon HD 7790はCUあたりのトランジスタやダイサイズがやや大きめである。
そこで表には16CU Modelと18CU Modelも計算に入れてみた。要するに「実際は16CUで設計されていて、そのうち14CUを有効にしたのがRadeon HD 7790である」という場合と、「実際は18CU(以下略)」の場合を仮定して試算したものだ。
18CUの場合は、ちょっと数字的に厳しいものがあるが、16CUに関しては割と現実的というか、かなりPitcairnに近い構成になっている。これはあくまでも筆者の推定ではあるが、10CU Modelと22CU Modelの間を埋めるのに14CUというのは中途半端で、実際は16CUで設計されてはいるが、市場の動向を見る限り14CUでも十分競争力があるので、まずはこの構成で出した、というあたりがこのコアの正確なところではないかと思う。
なので、もしNVIDIAが競合製品を出した場合(実際出すという話がさまざまな情報サイトから聞こえてくるが)、16CUモデルを後追いで出す事で競合することが可能になる。わざわざ今回新コアを作るからには、その程度の伸びしろは考慮しているのではないかと思う。
さて、AMDの資料によれば、Radeon HD 7790では新たに電源管理に関しても強化されたとしている(Photo05,06)。
Photo05:これは従来のRADOEN HD 7000シリーズで、Low/Intermidiate/Highの3段階+Boostで、都合4つの電力管理ステージとなる |
Photo06:Radeon HD 7790ではこれがStage 0~Stage 6+Boost StateにあたるState 7で合計8つのステージがあり、ステージの切替は10msとされる |
一方肝心の性能であるが、AMDの資料によればNVIDIAのGeForce GTX 650 Tiと比べてゲームで20%程度、DirectComputeでは最大70%の性能改善が図られたとしている(Photo07,08)。
Photo07:こちらはゲームでの比較。当然ばらつきはある。一番高速なのはDIRT Showdownとの事だが、これはちょっと手前味噌過ぎる気も |
Photo08:Direct Computeも当然ばらつきがあり。もっともこのクラスのGPUでGPGPUの性能がどこまで必要か、という問題はある |
ちなみにこの製品の位置づけであるが、メインストリームのハイエンドにHD 7790が位置するとしている(Photo09)。
Photo09:HD 7790の上にもう一つ、箱が入りそうな余地があるあたりが、必要に応じて上位モデルを追加できる様に見えなくもない。それがHD 7810/7830になるのか、HD 7790 Maximum Editionとかになるのかまでは知らないが |
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