説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、音楽を聞かせると曲名を当てることができるアプリのしくみについて説明します。
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iOSアプリの中には、これまでパソコンには見られなかったタイプのものが少なくありません。いまでは何気なく利用されていますが、現在地を測定してルート案内などを行う「マップ」などの地図アプリは、その好例といえます。iPhoneには各種センサーが内蔵されていますから、それを使えばユニークなアプリを開発できるのです。
その場に流れている音楽の曲名を当てるアプリが存在しますが、それはiPhoneに内蔵されているマイクと、いつ/どこでもインターネットに接続できるiPhoneの通信機能、そしてiPhoneの高い処理能力によって実現されています。ここでは、「Shazam」を例に説明してみましょう。
Shazamを起動し画面をタップすると、iPhoneは内蔵のマイクで周囲の音を聞き取り、波形データとして数値化します。いくつかの企業は世界中の曲を分析して波形データとして蓄えており、Shazamでは自社のデータベースにアクセスし、聞き取った曲の波形データと照合します。すべての曲は固有の波形データを持っていますから、一部でもパターンが一致する曲がある場合、流れている曲だと判定できます。
波形データのサイズはそのままでは巨大ですが、Shazamの開発元企業はデータの特徴的な要素を抽出し、軽量化する技術を開発しました。これをデータベース化しインターネットからアクセスできるようにすることで、指紋を照合して特定の人物を割り出すように、曲の一部分を十秒前後聞き取るだけで曲名を当てられるアプリを開発できたのです。
同様の技術を持つ企業はいくつかあり、そのうちの1つGracenote社は、AV家電向けに同様のサービスを提供しています。放送中の曲名を調べる機能が搭載されたテレビが販売されていますが、基本的なしくみはShazamとよく似ています。