説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhoneのバッテリーは使い切ってから充電したほうがいいの?」という質問に答えます。
***
iPhoneの電源には「リチウムイオン電池」が採用されています。いちど放電すると元に戻せない電池(1次電池)に対し、充電可能な電池は「2次電池」と呼ばれますが、採用される材料はさまざま。かつてはニッケル・カドミウム(ニッカド)やニッケル水素が主流でしたが、現在ではリチウムイオン電池がトップシェアです。
その理由は、重量あたりのエネルギー量が大きい「エネルギー密度の高さ」にあります。ニッカド電池やニッケル水素電池の約半分という重さで、ほぼ同じエネルギー量を持つことができます。
放電しきらない状態で充電を繰り返すと最大充電容量が減少していく「メモリー効果」がほとんどないことも、リチウムイオン電池のメリットです。そのため、残量がある状態で充電を開始(継ぎ足し充電)しても、最大充電容量には影響しません。
むしろリチウムイオン電池は完全に使い切らず、継ぎ足し充電したほうが長もちします。iOSは残量20%を切るタイミングで警告を発するため、それを合図に充電を開始すればいいのです。
逆に、リチウムイオン電池の残量を使い切ること(完全放電)は好ましくありません。完全放電してしまうと、エネルギーを蓄える物質の結晶構造がダメージを受け、他の物質に変わってしまいます。そうなるとリチウムイオンの保存場所がなくなり、電池のエネルギー容量は減少します。完全放電を繰り返すうちに充電の間隔が短くなるのは、これが理由です。結晶構造を健全に保つという意味で、満充電の状態(電源を接続した状態)で使い続けることも避けるべきです。
つまり、リチウムイオン電池を採用するiPhoneの場合、適度な充電状態を維持すること、具体的には20%から80%の間で継ぎ足し充電しながら使い続けることが、バッテリーを長期間快適に使うコツです。この「20%」と「80%」という数値は厳密なものではないため、およそのめやすとして覚えておきましょう。