写真を楽しくする「トリプルショット」

シャッターチャンスを逃さない、といえば、新機能の「トリプルショット」に触れないわけにはいかない。「トリプルショット」は、ごく簡単に説明すれば、1回のシャッターで3コマを高速連写する機能。

まず覚えておきたいのは、シャッターボタンを押下した瞬間に撮れるシーンは2コマ目にあたること。1コマ目はシャッターボタンを押下する直前(シャッターボタンを半押ししている必要あり)のシーンなのだ。いわば、ZRシリーズの既存機能「パスト連写」の簡易版のようなものだが、これが実に面白い。

そもそも、パスト連写が実に面白い機能なのだ。パスト連写はそのネーミングから、シャッターチャンスという「当たりポイント」を逃してしまっても、時間をさかのぼって記録されているから大丈夫、といった意味合いで理解されていると思う。

それは例えば、運動会のゴールや野球のヒッティングの瞬間、剛速球がワイングラスの脚を射貫く瞬間だったりするのだろう。が、正直、筆者の日常生活に限っていえば、そんな機会はそうそうない。それに、より確実にシャッターチャンスを押さえるなら15~30コマは連写したいところ。だが、それらの画像が連写グループ化されることもあって、撮影後に「当たり」コマをチョイスしたり、不要な「ハズレ」コマを削除するのがちょっと面倒なのだ。

ここぞというときには大いに頼りになるパスト連写も、普段使いには少し大げさな側面もある。そこで活躍するのがトリプルショットというわけ。記録はわずか3コマずつ、かつ連写グループ化もされないので、画像のチョイスや削除がラク。でありながら、パスト連写の恩恵を気軽に味わえる。

左からトリプルショットの1コマ目、2コマ目、3コマ目。トリプルショットはペットの撮影にも最適。シャッターを切ると同時に、ネコがそっぽを向いてしまったが、ひとコマ目は、シャッターを切る少し前を記録してくれるおかげで当たりのコマを手に入れることができた(オリジナル画像を見る。「写真左」「写真中央」「写真右」)

おすすめしたいのは、子どもやペットなど、動く被写体はとにかくトリプルショットで撮る、という使い方だ。当たりの一瞬に対してはもちろん、わずかなピントのずれに対する保険としても意義があるし、何より、連写することで「ハズレの中に埋もれていたアタリ」があることに気付けるからだ。本当は子どもの笑顔を撮ろうとしたのだけれど、トリプルショットを使ったら、目をつむった写真も撮れて…いやいや、ときにはこんな写真もいいんじゃない? なんて発見だってある。

左からトリプルショットの1コマ目、2コマ目、3コマ目。「当たりのコマは狙ったコマだけではない」ことを、トリプルショットは教えてくれる。この場合、最後のコマが狙ったコマではあるが、最初の目をつむった写真がいいという見方もある(オリジナル画像を見る。「写真左」「写真中央」「写真右」)

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