ついに登場した、新しい「Office」

2013年2月7日に、マイクロソフトのオフィススイート新バージョン「Office」が発売されました。2010年6月に「Office 2010」が発売されて以来、Windows版としては約3年ぶりの最新版です。

発売前日の2月6日に行なわれた新Office発売記念記者発表会(写真左)において、新しいOfficeの魅力を語る日本マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏(写真右)

今回のバージョンでは正式名称が「Office」とされ、「Office 2010」や「Office 2003」のような西暦によるナンバリングは廃止されています。旧バージョンと区別する際は「新しいOffice」と表記するとのことで、なんだかちょっとややこしいですね。数年後にリリースされるであろう次期Officeのことは「もっと新しいOffice」、その次は「より新しいOffice」とか、そして旧バージョンは「古いOffice」とか。それはともかく、これまでよく使われてきた「Office 2013」という名称は、今後使われなくなりそうです。

ただし「2013」という数字は、個々のパッケージ名に残されています。たとえば、パーソナル版は「Office Personal 2013」といった具合です。Office 2010でも同じく「Office Personal 2010」というパッケージ名でしたので、このあたりはそのままですね。

ではここで、新しいOfficeの製品ラインナップを紹介しましょう。基本となるのは家庭向けの「Office Personal 2013」とビジネス向けの「Office Home and Business 2013」、そして全部入りの「Office Professional 2013」の3種類です。さらに特別なパッケージとして、教育関係者や学生向けに価格を抑えた「Office Professional Academic 2013」と、旧バージョンからのアップグレード用に「Office Professional 2013 アップグレード優待パッケージ」が用意されています。

家庭向けの最小パッケージ「Office Personal 2013」

ビジネス向けスイート「Office Home and Business 2013」

ビジネス向けスイート「Office Home and Business 2013」

教育関係者や学生向けの安価なパッケージ「Office Professional Academic 2013」

数量限定の発売記念パッケージ「Office Professional 2013 アップグレード優待パッケージ」

「Office Professional Academic 2013」は教育関係者や学生向けとされていますが、意外に適用範囲が広いので、公式ページで自分が該当するかを調べておくといいでしょう。たとえば教育関係者なら、美術館の職員や学校の非常勤講師でも利用できます。学生の対象も幅広く「学生/生徒/児童」まで、つまり大学生から小学生(※)まで購入可能なのです。もし小学生のお子さんが「新しいOfficeを使いたい」と言ってきたら、ぜひ「Office Professional Academic 2013」を買ってあげてください。

※「児童」の定義にはいろいろありますが、アカデミック版ということでここでは「学校教育法」が定める6~13歳を児童としています

またお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、新しいOfficeにはアップグレード優待パッケージがProfessional版の1種類しかありません。これまでのOfficeにはPersonal版やHome and Business版も用意されていましたが、新しいOfficeでは廃止されました。Professional版以外の選択肢が用意されていないのは残念ですが、2003~2010のOfficeのどのエディション(単体製品を除く)からでもProfessional版にアップグレードできるのはお得ですね。ただし数量限定販売ですので、アップグレードを検討している人は早めに購入したほうがいいでしょう。

なお、各パッケージに含まれるソフトは以下のとおりです。

Office製品ラインナップ

Office Personal 2013 Office Home and Business 2013 Office Professional 2013 Office Professional Academic 2013 Office Professional 2013 アップグレード優待パッケージ
参考価格 31,290円 36,540円 62,790円 29,800円 37,590円
インストール数 2台まで 2台まで 2台まで 2台まで 2台まで
Word 2013
Excel 2013
Outlook 2013
PowerPoint 2013 -
OneNote 2013 -
Access 2013 - -
Publisher 2013 - -

普段からWordとExcelだけしか使わないのであれば、「Office Personal 2013」で十分でしょう。プレゼン資料や企画書の作成用にPowerPointも使っているなら、「Office Home and Business 2013」を購入する必要があります。より高度なビジネス向けの「Office Professional 2013」には、ページデザインソフトの「Publisher 2013」とデータベースアプリ開発環境「Access 2013」が用意されていますが、どうしてもこのソフトが必要という状況でない限り選ぶ必要はありません。自分の作業内容に合ったパッケージを選択してください。

さて、新しいOfficeの動作に必要なシステム要件は以下のとおりです。

システム要件

プロセッサ 1GHz以上
メモリ 1GB(32bit)/2GB(64bit)
HDDの空き容量 3GB以上
OS Windows 7、Windows 8、Windows Server 2008 R2
グラフィック DirectX10対応グラフィックボード
画面解像度 1024×576ドット(1366×768ドット以上推奨)
ブラウザー IE 8以上、Firefox 10以降、Safari 5、Chrome 17以降
その他 .NET Framework 3.5

新しいOfficeは、XPやVistaにインストールできません。来年4月にはXPのサポート期間が終了するためだと思われますが、2017年4月までサポート期間が残っているVistaも対象外とされているのは少し残念な気もします。そのほかの点については、現行マシンであれば特に問題ないでしょう。ネットブックでは少々厳しいかもしれませんが、一般的なPCであれば快適に動作するはずです。

機能によっては、そのほかの機器や環境をそろえる必要もあります。新しいOfficeをタッチやペンで操作する場合は、タッチ対応ディスプレイやデジタイザーペンなどが必要です。ネットワーク機能を利用するためにはインターネット接続回線も必要で、さらにネット連携機能を利用するためにはマイクロソフトアカウントでログインしたりもします。目的の機能を利用できる環境かどうかを、あらかじめチェックしておくといいでしょう。

ちなみに、Windows RT向けに「Office 2013 RT」というOfficeも用意されています。Windows RTに標準で含まれているため、通常のOfficeのように別途購入する必要はありません。マクロやアドインが利用できない、SkyDriveと自動同期しないなどの制限はありますが、一般的な文書なら問題なく作成可能です。商用目的での利用も可能なので、会社の文書を作成・編集するのにも使えます。基本的な使い方もほぼ同じですので、Win RTタブレットを持っている人は、ぜひ活用してください。