フルサイズセンサーを搭載したコンパクトデジタルカメラをソニーが発表。その一報に胸躍らせた写真愛好家は多いはずだ。そしてその期待は「サイバーショット DSC-RX1」として、予想以上のクオリティで我々の前に現れた。実売で20万円を超える価格とともに……。しかし、早くも断言してしまうが、これは決して高いものではない。

前述の35mmフルサイズセンサーに加え、金属ボディの重厚感、開放値2.0のカールツァイス「ゾナーT*」レンズ。このパッケージングを考えれば、むしろ画期的な戦略的プロダクツといえる。発売以来、店頭で品切れが続出しているのも納得だ。

グリップ部はラバーのみながら指がかりは良い。右側にはフォーカスモードダイヤル。DMFとは、ダイレクトマニュアルフォーカスの意味

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幅113.3mm・奥行69.6mm・高さ65.4mm(レンズ部分含む)。L判プリント用紙よりひと回り小さいボディサイズには、フルサイズセンサーが入っているとはとても思えない。デザインは、1.0インチセンサーを搭載して好評だった「DSC-RX100」の流れを受け継いでいる。バルナックライカをよりシンプルにしたような、モダンとクラシックが同居した洗練されたラインだ。ピラミッドパターンが刻まれたモードダイヤルにも、その面影がある。

レンズ横にはブルーの「ZEISS」ロゴ。メタリックオレンジの差し色との対比が美しい

背面液晶モニターがバリアングルではないのを惜しむ声もあるが、最近は高画質なカメラほどバリアングルを採用しないという法則が!

手に持つと、マグネシウム合金ボディのひんやりとした感触と、手応えのある重量感。かつてカメラに与えられていた高級精密機器のイメージを彷彿とさせる、スイッチ類の繊細な感触。そして、レンズに添えた左手の指先は、3連のヘリコイドリングを見出す。レンズ先端から順に、フォーカスリング、マクロ切り替えリング、絞りリング。この段階で、あなたはRX1が伝統的なカメラの作法に則った、王道を行くカメラであることに気付くだろう。

レンズ上のマクロ切り替え指標、絞り指標、本体のモードダイヤル、露出補正ダイヤル。わかりやすくオーソドックスな操作系が素晴らしい

電源ボタンの上にはシャッターボタン。なんと、ねじ込み式のケーブルレリーズが使える!

背面液晶モニターは、約122.9万ドット、アスペクト4:3の3.0型エクストラファイン液晶。明るさ調整機能付き

RX1のレンズは、焦点距離35mm、開放F2の単焦点レンズ。構造上、単焦点レンズの画質はズームレンズに比べて圧倒的に優れている。しかも、評価の高いカールツァイスの銘玉ブランド「ゾナー」に、フレアやゴーストの発生を抑える多層膜コーティングT*コーティングを施した新設計の「ゾナーT*」レンズ。非球面レンズ3枚を含む7群8枚構成で、9枚虹彩絞りを奢る豪華仕様だ。

加えて、RX1のレンズは固定式ゆえ、本体内のセンサー位置(撮像面)とのマッチングを完全に固定することができ、常にレンズの光学性能を最大限に引き出すことが可能なのだ。これはコンデジであることの大きな武器である。

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