Intelを築いた巨人の展示

博物館には、Intel創立者の1人であるRobert Noyce氏(1927年12月12日 - 1990年6月3日)の功績をたたえる展示もある。

集積回路の発明者はTexas Instrument(TI)のJack Kilby氏とIntelのNoyce氏である。Kilby氏の発明は、トランジスタはゲルマニウム基板に作り込んだが、配線は、細い金属線を空中に張るというものであった。これに対して、Noyce氏はシリコン基板上に、トランジスタや抵抗などの素子を作り、それらの上に絶縁膜を作り、その上に配線を作ってそれらの素子を相互接続するというプレナー集積回路を発明した。この方法は量産性に優れ、今日の半導体産業の基礎を築いた大発明である。

Noyce氏の集積回路の発明とその一生に関する展示

「歴史に囚われるな。何か素晴らしいことを始めよう」という同氏の言葉

過去の歴史に囚われず、何か素晴らしいことを始めようというNoyce氏の言葉と写真を載せた大きなパネルが展示されているが、この写真の前景に見えるウェハは、オバマ大統領がIntelを訪問したときのもので、大統領のサインが書かれている。

そして、半導体産業のロードマップとなったムーアの法則を提唱したGordon Moore氏のパネルも展示されている。

Gordon Moore氏は、1つの半導体チップに搭載される部品数は毎年2倍になるというムーアの法則を発表した

ムーアの法則を実現する微細化(Scale)を説明するパネル

半導体は微細化するとトランジスタ1個あたりの値段が下がり、より良い製品を安く作れる。このため、各社とも微細化に力を入れることになる。ムーアの法則には科学的な裏付けはないが、その経済効果から、微細化はムーア氏の提唱から40年以上を過ぎても、まだ、そのペースを継続している。半導体業界の微細化の開発目標を示し、それに従って進歩が実現してきたという点でムーア氏の功績は大である。

なお、この微細化(Scale)の展示の左の絵は、タッチパネルになっており連続的に倍率を変えて、チップ全体の表示から個々のトランジスタが見える程度まで拡大することができるというなかなかの力作である。

博物館にはお土産コーナーもついており、来館の記念にIntelロゴの入ったグッズを買って帰る人も多い。

Intelロゴが入ったTシャツなどが並ぶお土産コーナー

Intelロゴ入りのお土産を選ぶ来館者

この博物館があるIntel本社はシリコンバレーの中心とも言え、シリコンバレーを貫くフリーウェイUS101をMontague Express Way出口で北向きに降り、Mission College Blvdで左折すれば、すぐにIntelの入り口である。

US101をMontague Expway出口で北向きに降り、Mission College Blvdを左折する(出典:Google Map)

ということで、シリコンバレーの多くの会社から車で30分以内で行ける。シリコンバレーに来られて少し時間が余ったという折には、訪れて見られて損は無い。展示は、常時アップデートされているので、前回、行ったのは5年以上前という方は、また、訪れてみる価値はあると思う。