マウスコンピューターは10月27日、秋のヘッドホン祭2012の会場で、ポータブルHi-Fiオーディオプレーヤー「Astell&Kern(アステルアンドケルン) AK100 32GB」の新製品発表会を行った。同日より発売が開始され、希望小売価格は54,800円。

ハイレゾサウンド対応プレーヤー「Astell&Kern AK100 32GB」

発表会では、まず、iriver本社のグローバルセールスチームシニアディレクターJames Lee氏が壇上に立った。

iriverのグローバルセールスチームシニアディレクターJames Lee氏

James Lee氏は「昨今ではMP3形式のサウンドが、スタンダードな音楽品質と認識されつつある。我々iriverの主力製品もMP3プレーヤーだ」と前置きしつつ、「しかし、MP3よりも優れた音質を求める声は多く、2012年の初めから、圧縮していない本来の音源に対応したプレーヤーの開発をスタートした」と開発の経緯を説明。

そして1年間、ハイレゾ音源に対する開発を続け、完成したのがAstell&Kernだという。Astell&Kernは、Wolfson製のDAC「WM8740」を搭載しており、最大で192kHz/24bitのハイレゾ音源のネイティブ再生に対応する。Astell&Kernで利用可能な音声フォーマットは、WAV、FLAC、APE、MP3、WMA、OGGだ。

国内での販売元であるマウスコンピューター製品企画部プロダクトマネージャー藤川真人氏によると、iriverではスタジオで録音したオリジナルのサウンドクォリティを"MQS"と呼んでいるという。

"MQS"とは"Mastering Quality Sound"の略だ。

スタジオマスターから音楽CDを作成する場合、その音源はCD用に44.1kHz/16bitにリマスターされ、音質が低下する。MP3形式にする場合には、さらにエンコードが加えられ音質が低下する。192kHz/24bitの"MQS"とCD音源を比較すると、サンプリングレートでは4倍以上、量子化ビット数では256倍という情報量の開きがある。もちろん、情報量が増えるということは、ファイルサイズも増大することになる。

マウスコンピューター製品企画部プロダクトマネージャー藤川真人氏

藤川氏は、製品としての成り立ちについて「これだけの容量に対応したポータブルプレーヤーは、現在ほぼ存在していない。Astell&Kernは、非常に情報量の多いハイレゾサウンドを、そのままの形で楽しめるプレーヤーとして開発された」と述べている。

藤川氏の言う通り、Astell&Kernは2基のmicroSDカードスロットを装備しており、本体に内蔵された32GBのメモリを加えると、最大で96GBのストレージを利用できる。

接続インタフェースは、光デジタル音声の入出力をそれぞれ1系統備える。端子形状は丸形で、出力側の端子はイヤホン端子と兼用だ。光デジタル音声入力端子からの信号に対しては、DDC/DACモードが利用できる。Astell&Kernはオーディオプレーヤーでありながら、DAC内蔵のポータブルヘッドホンアンプ的な使い方も可能というわけだ。ファイル転送/充電用にはmicro USBポートを装備。Bluetooth 3.0にも対応している。

周波数特性は10Hz~20kHz(±0.02dB)、ダイナミックレンジは110dB以上、接続できるヘッドホンのインピーダンスは16~300Ωだ。電源は2,000mAh/3.7Vのリチウムポリマーバッテリーで、充電はUSBで行う。約5時間30分でフル充電され、フル充電の場合は192kHz/24bitの音楽ファイルを、最長12時間連続再生することが可能だ。

モニターは2.4型のタッチパネル式IPS液晶で(320×240ドット)、5バンドのグラフィックイコライザーも装備する。サイズは約W59.2×H79×D14.4mmで、重量は約122g。

「Astell&Kern」は、プレーヤーにDAC内蔵のポータブルヘッドホンアンプを組み込んだような製品といえる特色を持つ