ご承知のとおり2012年10月26日には、Windows 8がリリースされるが、同月29日には、Windows Phone 8のリリース発表が行われると噂されている。Windows Phone 8はWindows 8とカーネルを共有するモバイル向けOSだけに、動向が気になるところだ。先日リリースされたWindows Server 2012を踏まえると、Microsoftとしては各OSの開発を終了し、ソフトウェアやサービスなど周辺の強化という新しい時期に来ているのだろう。今週は新たにリニューアルするMSNと、Windows 8リリース時に更新するWindowsストアアプリに関する情報をお送りする。
Windows 8レポート集
Internet Explorer 10に最適化される「MSN」
Windows 8スタイルが用いるModern UI(モダン・ユーザーインターフェース)は、Windows Phone 7シリーズのUIデザイン言語として作り出されたものだが、源流には2006年にリリースされた携帯音楽プレーヤーの「Zune(ズーン)」にある。2011年後半には生産終了し、日本国内の販売は実施されなかったことを踏まえると、Modern UIはWindows Phone 7シリーズが最初に目にするModern UI採用デバイスとなるだろう。
MicrosoftはこのModern UIをWindows 8にとどめず、今後リリースされる予定のMicrosoft Office 2013など各種製品に採用していく予定だ。特にXbox 360はUIだけでなく、Internet Explorer for Xboxを搭載するなど、一種のプラットフォームとして成長しつつあるが、主題と異なるため割愛する。このModern UIの採用範囲として新たに加わるのが、同社のポータルサイトである「MSN」だ。
前述のとおりModern UIを基調にしたデザインを採用し、Windows 8に搭載されるInternet Explorer 10に最適化すると、MSNゼネラルマネージャーのBob Visse(ボブ・ヴィセ)氏がブログで発表した。Modern UIの特徴であるタッチ操作を前提したデザインと機能を備え、見出しや画像が強調されている。
前述のとおり新しいMSNは、Windows 8(Internet Explorer 10)に併せた最適化を施しており、複雑なレイアウトやクオリティの高い画像もスピーディに表示できるという。画像を左右にスワイプすることで画面を切り替えずに別の記事を表示する「Flip Ahead」機能に対応し、Visse氏は「アプリのように動作する」と述べている(図01~02)。
ちなみに「Flip Ahead」とは、Internet Explorer 10が備える新機能の一つで、国内では「ページフリップ」と称されることが多い。複数のWebページで構成されたコンテンツを対象にスワイプ操作を行うことで、"リンクをクリックする"のではなく"フリップで続きを開く"ため、雑誌を読む感覚で好みのWebサイトを閲覧できるというものだ。
Flip Ahead機能を有効にするには、Internet Explorer 10の「ページフリップをオンにする」を有効にする必要があり、同時に閲覧の履歴情報をMicrosoftに送信することに同意しなければならない。推測するに同機能はユーザーが閲覧するであろうWebページを先読みすることでスムーズな操作を実現しているのだろうが、その精度を高めるために閲覧情報が送信されるのだろう。もちろん初期状態では無効になっており、ユーザーに設定を有効にする確認をうながす仕組みや、設定を切り替えるスイッチが用意されているため、ユーザーはリスクと利便性を天秤にかけて取捨選択しなければならない(図03)。
同ブログではコンテンツの内容にも触れており、AP通信やロイターと提携し、各種報道を300から500文字程度の素早く読める分量で提供すると述べている。現在日本語版では、産経新聞グループと提携し「MSN産経ニュース」を提供しているが、各国の提携状況には触れていない。そのため、サービスを終了するのか否かは不明だ。しかし、AP通信とロイターいずれの通信社も日本語版を提供しているので、内容の是非はともかく、さまざまな報道を日本語で閲覧できる環境が増えることは、素直に歓迎すべきだろう(図04~05)。
執筆時点では、Internet Explorer 10でMSNにアクセスしても表示される内容は従来のまま。新しいMSNはWindows 8が一般公開される2012年10月26日に併せて公開される予定だ。1995年にパソコン通信サービスとしてデビューし、ISP(インターネットサービスプロバイダ)やコンテンツプロバイダとして紆余曲折を経たMSN。今回の大幅なリニューアルで、どのようなコンテンツが提供され、我々読者の利便性がどれほど向上するのか。今後に注目したい。