ローンチ時に更新されるWindowsストアアプリ
現在Windows 8を使用している多くのユーザーは、2012年8月に提供が始まったMSDNやTechNet購読者やSA(Software Assurance)使用可能な法人に限られるが、あくまでもこの時点で提供されたWindows 8はRTM版(Release To Manufacturing version:製造工程版)であり、GA版(General Availability version:一般提供版)ではない。この差をWindows 8公式ブログサイトの一つである「Building Windows 8」の最近記事で披露した。筆者は長年プログラムマネージメントチームに所属しているGabriel Aul(ガブリエル・アウール)氏だ(図06)。
多くのWindows 8を使用しているユーザーは、Windowsストアアプリの動作に関して首を傾げる場面が多かっただろう。例えば電子メールアドレスを「live.jp」ではなく「hotmail.jp」を取得し、Microsoftアカウントとして使用すると「People」の動作に異常を来す場面や、「メール」使用中はフォルダーの表記が「受信トレイ」から「InBox」に変化してしまうなど、完全検証は難しいものの明らかにおかしい動作を経験した方も少なくない。
そこで改善を加えた各Windowsストアアプリの最新版をGA版に盛り込むと同氏は述べている。既にWindows 8を使用している方には、Windowsストア経由でアップデートを提供するそうだ。細かく検証していないが、2012年8月にリリースされた同RTM版から執筆時点の10月5日までに二回ほどのアップデートを経験。一般的なソフトウェアと異なり、変更内容をメモしたChangelogが提供されないため詳細は不明だが、前述した動作が発生しなくなるなど、全体的な安定性が増したことは実感できた。
同ブログでは各Windowsストアアプリの更新情報をまとめており、例えば「メール」「カレンダー」「People」「メッセージング」(これらのWindowsストアアプリはワンセットとして扱われる)は、「受信トレイのスレッド表示」「IMAPアカウントの完全サポート」「電子メールによる招待の受諾/拒否」「自身のアカウント画像を取得/更新」「検索機能の改善」「『メッセージング』から連絡先を検索」といった改良が加わっている。
この他にも購入機能が強化された「ビデオ」「ゲーム」では、現地通貨によるビデオ購入や、ゲーム内アイテムやコンテンツの追加購入をサポート。個人的には「スポーツ」によるJリーグのサポートがもっとも楽しみだが、執筆時点では変化が見られなかった。前述した新しいMSNと同じく、これらの更新もWindows 8の発売に合わせた10月26日に実施される予定だという(図07~19)。
本レポートでは何度も述べているように、WindowsストアアプリのクオリティがWindows 8の評価を左右する重要な地位を占めている。今後どのような改善が行われるかは不明だが、現時点でキラーアプリケーションとなるWindowsストアアプリは登場していないのは事実である。Microsoft自身が提供するのかサードパーティが生み出すのか予測できないが、普遍的に使用できるWindowsストアアプリの登場を期待したい。