日本での現在のiPhone取り扱いキャリアはソフトバンクとKDDI (au)で、どちらも新型iPhoneが登場するとみられる今秋にLTEサービスのローンチを発表しており、これはiPhoneリリースを意識したものとの見方が一般的だ。ただし必要十分な周波数帯サポートが行われるかは不明で、このあたりはきちんとした検証が必要だろう。また筆者が以前に考察レポートをまとめたように、「NTTドコモがLTEをサポートした新型iPhoneの取り扱いをスタートする」という噂があるが、少なくとも「Appleが日本でのiPhoneのLTE展開のためだけにNTTドコモでの提供を開始する」ということはない。LTEに関してNTTドコモだけ特別扱いされることはないというのが筆者の予測だ。

新型iPhoneは4インチの縦長ディスプレイになる?

おおよそ2世代ごとに大きなデザイン変更を行ってきたiPhoneだが、この中で共通して守られていることが1つある。それはディスプレイサイズを「3.5インチ」、480×320 (Retinaは960×640)ピクセルの「3:2」の比率に設定していることだ。Retinaにおいても縦横2倍ずつの4倍サイズを採用したことで、アスペクト比がそのままなだけでなく、Retina非対応アプリであっても特に解像度の違いを意識せずに実行することが可能だ。

だがWall Street Journalが関係者の話として以前に報じたところによれば、新型iPhoneではやや大型の4インチパネルを採用し、さらにアスペクト比が変更されて3:2から「16:9」のワイドサイズになるという。この場合、本体横方向の解像度はそのままで、縦方向だけにピクセル数が追加されて16:9の比率になるよう調整されるという。この情報を基に計算すると「640/9*16=1137.777…」という数字となり、経て解像度はおそらく「1136」ということになる。これに関して疑問なのが、なぜわざわざAppleがアスペクト比を変えてまで4インチサイズのパネルを採用するのかという点、そしてワイド規格を採用したのが動画再生のためだとして、縦方向がHDの720pに満たない「640」のままなのか、という2点だ。新型iPhone未対応アプリを動作させる場合、余ったピクセルの上下部分に黒線を表示させるという話があるが、640の解像度を維持したのはアプリ互換性のためとの見方もある。

iPhoneで初の小型Dockコネクタが採用される?

iPod時代から共通して用いられている本体下部の30ピンDockコネクタは、ある意味でiPhoneの象徴的存在だ。多くの周辺機器はこのDockコネクタをターゲットに開発が行われている。だがこのDockコネクタで「新規格の小型コネクタ」が用いられるとの噂が広がっている。Reutersの報道によれば、新型Dockコネクタは19ピンとなり、横サイズが大幅に小さくなる、代わりに空いたスペースに本体上部にあったイヤホンジャックを下部へと移動し、設計をすっきりとさせる狙いがあるという。

また小型Dockコネクタについては別の話もあり、SlashGearの記事によれば、ピン数は19ピンまたは16ピンで、MacBookのMagSafeのように着脱が容易で、さらに裏表関係なく接続が可能だという。周辺機器メーカーにとって規格が変わることは非常に大きなデメリットだが、この点に関してはユーザーにとって新たなメリットだろう。一方で周辺機器メーカーにとって大きな問題なる可能性があるのが、Dockコネクタ経由でのWiredな接続よりも、AppleがBluetooth 4 Linkによる無線接続を積極プッシュしている点だ。Dockコネクタの新仕様しだいではそのまま流用できなくなる周辺機器が多数出現するとみられ、その後の動向が注目される。

iOS 6配布とそれ以外の噂まとめ

別項でも触れているが、次期iPhoneはiOS 6を搭載して登場してくることになるとみられ、この時期に前後して既存ユーザー向けのiOS 6配布が開始されることになるだろう。

また一部で噂になっていたNFC (Near Field Communications)機能への対応だが、AppleがNFCをテストしていたプロトタイプをキャンセルし、非搭載モデルの採用を決定したという話を9 to 5 Macが報じている。GoogleがAndroidで前面プッシュし、MicrosoftもWindows Phone 8でのサポートを表明したNFCは、つねにAppleがiPhoneで採用するかに注目が集まっている。だが現在のところ同行は不透明で、どちらかといえば搭載に関する噂が少ないのが現状だ。以前にCNETが中国サイトの情報としてNFCチップ搭載の可能性を画像付きで報じていたが、これは間違いだったとの見方が大勢だ。筆者自身も現状で何度も登場している本体裏面ケースのリーク画像でNFCアンテナの実装スペースを発見できず、同デザインを採用する限りNFC搭載は難しいのではないかと予測している。

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以上がスペシャルイベントにまつわるiPhone関連の噂の数々だ。少々長くなったが、過去記事のリンクもたどりつつ、発表されるとみられる新製品に思いを巡らせてみてほしい。