NVIDIAと東京工業大学は共同で、学生の夏休みを利用して2012年8月30日、「CUDA サマーキャンプ 2012」を実施した。若い世代のプログラミング能力の育成を目的に、高校生や高専生を対象としたCUDAプログラミングの入門講座。当日は公募で集まった全国の学生が、GPU並列コンピューティングの第一線で活躍する講師陣の講義などを受け、最新の知識を学んだ。

東工大の大岡山キャンパスを会場に開催された「CUDA サマーキャンプ 2012」

サマーキャンプは今年で4回目の開催で、東工大の協力により「TSUBAME2.0」に触れることができる貴重な機会が用意されているほか、講師も、スパコン分野での最高栄誉と言われるゴードンベル賞・特別賞(本賞)を受賞した東京工業大学 学術国際情報センター 青木尊之教授と、ゴードンベル賞を受賞した東京工業大学 学術国際情報センター 特任助教の下川辺隆史博士の2人が担当している。

豪華な講師陣も同キャンプの特徴で、今回は東京工業大学 学術国際情報センター 青木尊之教授(左)と、東京工業大学 学術国際情報センター 特任助教の下川辺隆史博士(右)の2人がメイン講師。ほか、NVIDIAの技術担当者による講座なども行われた

1日の午前と午後をフルに使った集中講座となっており、午前中はNVIDIAの担当者を中心とした講師陣が、GPUの歴史、GPUスーパーコンピュータ、コンピュータ・シミュレーションの最先端研究などを紹介する、GPUコンピューティングの関する基礎知識を吸収する座学に割り当てられた。その後、東工大のTSUBAME実機の見学会を経て、午後はサマーキャンプのメイン講座、CUDAプログラミングの入門講義と、ワークショップが行われた。

講義の内容の一部。入門とはいえ、実際にCUDAでプログラミングしてみる実践的な内容まで学ぶ

CUDAプログラミングの入門では、まずTSUBAME2.0へのログインと、作業環境をWindows端末に設定するところからはじまり、波動や拡散などの応用プログラミング例を、その国内有数の専門家である青木教授、下川辺博士の2人が直接指導。プログラミング入門の後半は、参加学生がグループにわかれて、ここまでで学んだ内容で、実際に特定テーマの並列演算のCUDAプログラミングにおいて、処理速度の高速化にチャレンジするという実践が行われた。

講義のシメに、参加者でグループにわかれて、プログラミングの処理速度を競った

各人のアイデアを持ち寄って、どうすれば高速化できるのかを検討する参加者たち

高速化チャレンジの優秀チームには、プレゼントも用意

参加者抽選で、NVIDIAの高性能グラフィックスカードのプレゼントも

サマーキャンプは、先端分野を学ぶ大学生でなければ、なかなか触れることができない、こういった最先端の並列コンピューティングの世界を、高校生のうちから体験し、興味を持ってもらうことで、日本国内の同分野での研究活動の底上げに貢献するというのが、主な目的だ。今回参加した学生は、技術系の学校だけでなく、一般の普通科高校からの参加者も目立ち、会場も東京であったが、遠方では北海道からの参加者もいた。参加者アンケートによれば、今回がCUDA初体験という学生が8割以上であったという。参加者がみな熱心に講義に挑んでいる様子を見ることもでき、肌感では、CUDA、並列コンピューティングの裾野のひろがりを実感できるものだった。