巷では、「Ultrabook」という言葉が頻繁に聞かれるようになってきている。軽量薄型、スペックもそこそこ、さらには安い。これだけ見ればよいことづくめのように見えるUltrabookだが、実際に使い比べてみるとちょっとだけ複雑な思いもよぎってしまう。例えばソニーのVAIO Z。軽量・薄型で高性能なところはUltrabookのそれと同じ。値段こそ違うが、当然のようにパフォーマンスはまったく別物といっていい。基本的にPCは好きな機種があるときが買い時だと思っているので、対決させようとは考えていないが、ちょうど一般的なUltrabookとVAIO Zが入手できたので、使い勝手を中心にいろいろとレビューしてみたいと思う。
「VAIO Z」こそ"ウルトラ"な"ノートブック"だろと思う筆者が独断と偏見で比較レビューしてみる |
薄さ、軽さってなんだろう?
単体だけを手に取ってみればVAIO Zは軽量なうえにスリム&スマートで、現在リリースされているノートPCの中でももっとも洗練されている部類に入るだろう。しかし、Ultrabookと見比べると後者のほうがやや薄く見えてくる。Ultrabookのスペックを見てみると最薄部10mmを切る製品が多く、VAIO Zは16.65mmだ。約16mmといえばこれまでのノートPCの中ではダントツの薄さを実現している部類にはいるが、Ultrabookのほうが全体的にみればスリムな印象を受ける。
重量に関してだが、VAIO Zの最軽量モデルは1.150kgから、別売りのシートバッテリー装着時でも1.690kgととても軽く仕上がっている。一般的なUltrabookも同等の重さのものが多い。実質的にVAIO Zよりも薄いものが多いのに重量的に変わらないのは、薄型デザインの筐体を補強するために金属素材が使われることが多いからだろう。別の見方をすれば、最薄部の薄さが違うだけで、モバイル的にはVAIO Zと変わらないと受け取ることもできるのだ。
ちょいと失礼して重ねてみる。最薄部の薄さではUltrabookに軍配は上がるが、"モバイルノートPC"の本質はそこにあるのだろうか? |
上から見てみると、サイズはVAIO Zのほうが小さくまとめられているのがわかる |
また、外観をぐるりと見回して気がつくのがインターフェイスの違い。VAIO Zはこれまで同様、USBポートもHDMIポートも通常のものが配置されているが、Ultrabookはいくつかがミニポートで代替されている場合が多い。これは日常の使い勝手という部分で、大きな要素となりえる。Ultrabookは、ポート類の数もずいぶんと少ないことが多いので、これに不満を覚えるユーザーもいるはずである。
モバイルを前提と考えるなら薄ければ薄いほど、軽ければ軽いほど良いに決まっている。だが、出先で不意に周辺機器を使おうとしてもミニポート変換プラグを忘れてしまったらそれまでなのである。
今まで買いそろえてきた周辺機器がすぐに挿せない、今までは複数挿せたのにいちいち繋ぎ換えなくてはならない。この不便さはよほど寛容な人か、順応力の高い人でない限り、ストレスになってしまうはずだ。要するに「薄さと引き換えに失ったものがある」のがUltrabookで、これまで以上の使い勝手を求めた上でスリム可を実現したのがVAIO Zという印象を受けてしまうのだ。